イヌリン摂取が新型コロナウイルス感染動物モデルの感染死を抑制
株式会社メタジェン
~腸内細菌叢由来二次胆汁酸の関与を示唆~
研究結果の概要
株式会社メタジェン(本社:山形県鶴岡市、社長:福田 真嗣、以下「メタジェン」)は、慶應義塾大学先端生命科学研究所(住所:山形県鶴岡市、所長:荒川 和晴、以下「慶大先端生命研」)、東京大学医科学研究所感染症国際研究センター(住所:東京都港区、センター長:川口 寧、以下「東大医科研」)、および帝人株式会社(本社:大阪市北区、社長:内川 哲茂、以下「帝人」)と共同で、ハムスターを用いた新型コロナウイルス感染動物モデルにおいて、イヌリン摂取群が腸内細菌叢由来の二次胆汁酸量を便中および血中で増加させることで、新型コロナウイルス感染症によるハムスターの感染死を有意に抑止できることを明らかにしました。
本成果は、国際的なオンライン学術誌「npj Science of Food」に3月14日付(現地時間)で掲載されました。
【研究の背景】
メタジェンと帝人は、メタジェンが主催する「腸内デザイン共創プロジェクト」を通じて、2019年に試験管内(in vitro)での腸内細菌叢培養実験を実施しました。その結果、ビフィズス菌とイヌリンを添加したヨーグルトのほうが乳酸菌を含む普通のヨーグルトと比較して、酢酸などの短鎖脂肪酸の産生量が有意に多くなることを見出しました(注1)。
このような中、両社、およびメタジェン代表の福田が特任教授を務める慶大先端生命研、ならびにウイルス特異的免疫応答の制御機構の研究を進める東大医科研の一戸猛志准教授は、イヌリンが免疫機能に及ぼす効果に関する論文が世界的に多数報告されていることから、新型コロナウイルス感染症の重症化に対するイヌリンの予防効果について 動物試験で検証することとし、2020年12月から共同研究を行ってきました。
【研究成果の概要】
● ハムスターを通常食(コントロール群)と5%イヌリン添加食(注2)を摂取させる群に分け、摂取2週間後に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を経鼻感染させました。その結果、コントロール群では感染10日後の生存率が60%であったのに対して、5%イヌリン添加食を与えたハムスターでは、生存率が100%でした(図1)。
● 5%イヌリン添加食を摂取させたハムスターの便中および血清中では、腸内細菌叢由来の二次胆汁酸であるデオキシコール酸(DCA;注3)の量がコントロール群と比べて有意に高い値を示しました(図2)。
● イヌリンの摂取により腸内細菌叢由来の二次胆汁酸であるデオキシコール酸の産生量が増加したことで、コントロール群と比較して有意に生存率を改善できることが動物試験で明らかとなりました。これは、先行研究に準ずる結果です(注4)。
注1 帝人社 社内データ
注2 餌中デンプンの5%をイヌリンに置き換えたもの
注3 デオキシコール酸(DCA):腸内細菌の代謝によって産生される二次胆汁酸の一種。免疫機能や代謝機能に影響があることが報告されています
注4 福田らは先行研究でデオキシコール酸が新型コロナウイルス感染症の重症化を抑制することを明らかにしています
Nagai et al., High body temperature increases gut microbiota-dependent host resistance to influenza A virus and SARS-CoV-2 infection, Nat commun. 2023;14: 3863
【今後の展開】
メタジェンおよび帝人は、今後も研究機関と共同で、イヌリンを含むプレバイオティクスやプロバイオティクスに関する新たなエビデンスを取得することにより健康社会の構築に貢献していきます。
メタジェンは、今後も腸内環境の層別化に基づいた研究開発を推進し、最先端科学で病気ゼロを実現すべく、さらに邁進してまいります。
<論文に関する情報>
【論文タイトル】
Prebiotic inulin ameliorates SARS-CoV-2 infection in hamsters by modulating the gut microbiome
【著者】
Isaiah Song, Jiayue Yang, Misa Saito, Tenagy Hartanto, Yasunori Nakayama, Takeshi Ichinohe, Shinji Fukuda
【掲載紙】
npj Science of Food
【掲載日】
2024年3月14日(現地時間)
【DOI】10.1038/s41538-024-00248-z
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~腸内細菌叢由来二次胆汁酸の関与を示唆~
研究結果の概要
株式会社メタジェン(本社:山形県鶴岡市、社長:福田 真嗣、以下「メタジェン」)は、慶應義塾大学先端生命科学研究所(住所:山形県鶴岡市、所長:荒川 和晴、以下「慶大先端生命研」)、東京大学医科学研究所感染症国際研究センター(住所:東京都港区、センター長:川口 寧、以下「東大医科研」)、および帝人株式会社(本社:大阪市北区、社長:内川 哲茂、以下「帝人」)と共同で、ハムスターを用いた新型コロナウイルス感染動物モデルにおいて、イヌリン摂取群が腸内細菌叢由来の二次胆汁酸量を便中および血中で増加させることで、新型コロナウイルス感染症によるハムスターの感染死を有意に抑止できることを明らかにしました。
本成果は、国際的なオンライン学術誌「npj Science of Food」に3月14日付(現地時間)で掲載されました。
【研究の背景】
メタジェンと帝人は、メタジェンが主催する「腸内デザイン共創プロジェクト」を通じて、2019年に試験管内(in vitro)での腸内細菌叢培養実験を実施しました。その結果、ビフィズス菌とイヌリンを添加したヨーグルトのほうが乳酸菌を含む普通のヨーグルトと比較して、酢酸などの短鎖脂肪酸の産生量が有意に多くなることを見出しました(注1)。
このような中、両社、およびメタジェン代表の福田が特任教授を務める慶大先端生命研、ならびにウイルス特異的免疫応答の制御機構の研究を進める東大医科研の一戸猛志准教授は、イヌリンが免疫機能に及ぼす効果に関する論文が世界的に多数報告されていることから、新型コロナウイルス感染症の重症化に対するイヌリンの予防効果について 動物試験で検証することとし、2020年12月から共同研究を行ってきました。
【研究成果の概要】
● ハムスターを通常食(コントロール群)と5%イヌリン添加食(注2)を摂取させる群に分け、摂取2週間後に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を経鼻感染させました。その結果、コントロール群では感染10日後の生存率が60%であったのに対して、5%イヌリン添加食を与えたハムスターでは、生存率が100%でした(図1)。
● 5%イヌリン添加食を摂取させたハムスターの便中および血清中では、腸内細菌叢由来の二次胆汁酸であるデオキシコール酸(DCA;注3)の量がコントロール群と比べて有意に高い値を示しました(図2)。
● イヌリンの摂取により腸内細菌叢由来の二次胆汁酸であるデオキシコール酸の産生量が増加したことで、コントロール群と比較して有意に生存率を改善できることが動物試験で明らかとなりました。これは、先行研究に準ずる結果です(注4)。
注1 帝人社 社内データ
注2 餌中デンプンの5%をイヌリンに置き換えたもの
注3 デオキシコール酸(DCA):腸内細菌の代謝によって産生される二次胆汁酸の一種。免疫機能や代謝機能に影響があることが報告されています
注4 福田らは先行研究でデオキシコール酸が新型コロナウイルス感染症の重症化を抑制することを明らかにしています
Nagai et al., High body temperature increases gut microbiota-dependent host resistance to influenza A virus and SARS-CoV-2 infection, Nat commun. 2023;14: 3863
【今後の展開】
メタジェンおよび帝人は、今後も研究機関と共同で、イヌリンを含むプレバイオティクスやプロバイオティクスに関する新たなエビデンスを取得することにより健康社会の構築に貢献していきます。
メタジェンは、今後も腸内環境の層別化に基づいた研究開発を推進し、最先端科学で病気ゼロを実現すべく、さらに邁進してまいります。
<論文に関する情報>
【論文タイトル】
Prebiotic inulin ameliorates SARS-CoV-2 infection in hamsters by modulating the gut microbiome
【著者】
Isaiah Song, Jiayue Yang, Misa Saito, Tenagy Hartanto, Yasunori Nakayama, Takeshi Ichinohe, Shinji Fukuda
【掲載紙】
npj Science of Food
【掲載日】
2024年3月14日(現地時間)
【DOI】10.1038/s41538-024-00248-z
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(2024/03/28 11:26)
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