医療・医薬・福祉

小樽市・アムジェン・キャンサースキャン、「骨粗しょう症疾患啓発の推進に係る連携・協力」に関する協定に基づく事業報告書(2022年度分)を公開

株式会社キャンサースキャン
小樽市民(国民健康保険と後期高齢者医療保険の加入者)へ骨粗しょう症受診勧奨を実施、受診率16.1%を達成



北海道小樽市(市長:迫俊哉、以下「小樽市」)、アムジェン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ニール・マグレガー、以下「アムジェン」)、および株式会社キャンサースキャン(本社:東京都品川区、代表取締役:福吉潤、以下「キャンサースキャン」)は、2021年10月に締結した「骨粗しょう症疾患啓発の推進に係る連携・協力(疾患啓発コモンズ)」に関する協定に基づき実施した受診勧奨事業(以下、本事業)の報告書(2022年度分)を公開しました。
本事業では、二次骨折のリスクが特に高いと考えられる方(過去に脆弱性骨折を経験しているが(1)骨粗しょう症の治療履歴がない、または(2)骨粗しょう症の治療を中断している小樽市民(国民健康保険と後期高齢者医療保険の加入者))に向けて、「骨粗しょう症」に関する検査や受診を促す勧奨通知の送付等を実施しました。本事業は2021年度、2022年度と続けて実施し、2022年度は受診率16.1%を達成し、2021年度と同水準の結果が得られました。

■背景
「骨折・転倒」は、「認知症」「脳血管疾患(脳卒中)」に次ぐ、高齢者の要介護認定の主な要因となっています。高齢者の骨折の多くは、骨の強度が低下し、わずかな外力で起こる脆弱性骨折で、その要因は骨粗しょう症です。一度、脆弱性骨折を経験した患者は、次の骨折を連鎖的に引き起こすリスクが高いことから、骨粗しょう症の早期治療介入が求められます。
小樽市は、高齢化率が40.9%(令和2年9月末時点)と全国平均より高く、65歳以上の高齢者が多い地域の一つです。また、骨折後に要介護認定を受ける方がいる一方で、一度でも脆弱性骨折を経験した方の多くが骨粗しょう症の治療を受けていないことも明らかとなっており、介護予防・健康寿命の延伸はもちろん、医療費適正化の観点でも繰り返す骨折を防ぐことが急務とされています。
このような状況を踏まえ、骨粗しょう症による再骨折の可能性を伝えて市民に適切な検査や治療を促すことを目的に、2021年度に続き2022年度も本事業を実施しました。

■事業実施概要


■主な結果

1.骨粗しょう症に関する医療機関への受診率は16.1%を達成
通知送付6カ月後、16.1%(受診者69人/効果検証対象者429人)の方が、骨粗しょう症に関連して医療機関を受診しました。中でも、2022年度事業で初めて事業対象者となった方では21.1%(受診者26人/効果検証対象者123人)の受診率に至りました。一方で、2021年度事業から連続で事業対象者となった方でも14.1%もの受診率が見られました。

※北海道小樽市 「令和4年度 脆弱性骨折の予防を目的とした骨粗しょう症の疾患啓発事業報告書」より改変


2.2021年度事業の受診者のうち、58%が骨粗しょう症を目的とした受診を継続
2021年度事業の受診者のうち、58%(56人/97人)が通知発送後7―12か月にも骨粗しょう症に関連して医療機関を受診していることが分かりました。

※北海道小樽市 「令和4年度 脆弱性骨折の予防を目的とした骨粗しょう症の疾患啓発事業報告書」より抜粋

本事業を通じて、脆弱性骨折の既往があり、かつ骨粗しょう症の治療が必要と考えられる方に個別の受診勧奨通知を送付することで、医療機関受診を促せることが分かりました。

本報告書の詳細は、小樽市ホームページをご参照ください。
ウェブサイト:https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2021102200035/

脆弱性骨折について
世界的に、50歳以上の女性3人に1人、男性5人に1人が骨粗しょう症による脆弱性骨折を起こすとされており、高齢化に伴いこの数はさらに増加する見込みです(*1)。また、骨粗しょう症による椎体骨折や大腿骨近位部骨折は、日々の活動に著しく影響し、患者さんのQOLを低下させ、救急病棟を含む通院を増やし、医療費の増加につながります(*2)。大腿骨近位部骨折患者さんのその後の生存率は、一般人口より低い推移を示します(*3)。こうした状況にもかかわらず、日本の骨粗しょう症患者さんのうち治療を受けている割合は、わずか20%程度(推定)に過ぎません(*4)(*5)。また、脆弱性骨折は介護や寝たきりの要因でもあります。官公庁統計を基にした試算では、骨折・転倒を要因とする介護サービス負担は2018年には1.9-2.8兆円、その中でも家族による介護負担は0.8―1.7兆円と、最も大きな要素となっていることが報告されています(*6)。また、骨粗しょう症で最も頻度の高い椎体骨折や大腿骨近位部骨折に起因して要介護となった患者の介護者の転職・離職率が有意に高く、医療費の負担も大きいことも報告されています(*6)。

小樽市について
小樽市は、北海道西海岸のほぼ中央、後志地方の東側に位置し、札幌市など4市町村に接しています。東西約36キロメートル、南北約20キロメートルで、市街地の一方が日本海に面し、他の三方を山々に囲まれた坂の多いまちです。海岸線は約69キロメートルで、その中央には天然の良港である小樽港があり、西側の勇壮な海岸は「ニセコ積丹小樽海岸国定公園」に指定されています。気候は北海道にあって寒暖の差が小さい海洋性であるため、住みやすく、春は桜と新緑、夏はゴルフやマリンレジャー、秋は紅葉、冬はスキーと、四季を通じて豊かな自然を満喫できます。
ウェブサイト:https://www.city.otaru.lg.jp/

株式会社キャンサースキャンについて
キャンサースキャンは、「人と社会を健康に」というミッションの達成に向け、データサイエンスとマーケティング、行動経済学、公衆衛生の専門知識を掛け合わせ、特定健診の受診勧奨や生活習慣病の重症化予防を目的とした受療勧奨、がん検診の受診勧奨、予防医療に関する新たな事業開発等、日本の予防医療の推進を支援する各種事業を展開しています。
累計700以上の市町村での各種保健事業の実施支援を通じて、コミュニケーションを変え、社会の仕組みを変えながら、健康になるための行動変容に障壁がない世界を目指しています。
ウェブサイト:https://cancerscan.jp/

アムジェン株式会社について
アムジェン株式会社は、世界最大規模の独立バイオテクノロジー企業である米国アムジェン社の日本法人です。アムジェン株式会社では、循環器疾患、がん、骨疾患、炎症・免疫性疾患、神経疾患、希少疾患を始めとするアンメット・メディカル・ニーズが高い領域に焦点を絞り、「To serve patients - 患者さんのために、今できるすべてを」というミッションのもと、臨床開発から販売までの活動を行っています。詳細については http://www.amgen.co.jp をご覧になるか、https://www.facebook.com/amgenjapan をフォローしてください。

注意事項(アムジェン株式会社)
このニュースリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的とするものではありません。

この件に関するお問い合わせ先
小樽市
福祉保険部保険年金課
TEL:0134-32-4111(内線395)

アムジェン株式会社(東京)
コーポレート・アフェアーズ
TEL: 03-4520-2447

株式会社キャンサースキャン
コモンズ事業部
TEL:03-6420-3390
E-mail:info@cancerscan.jp

References
*1.International Osteoporosis Foundation. Facts and statistics: Epidemiology of osteoporosis and fragility fractures
*2.Fujiwara, S, et al. J Bone Miner Metab. 2019; 37(2): 307-318.
*3.折茂肇. 日本臨牀. 2004; 62(増刊2): 1-6.
*4.International Osteoporosis Foundation. Patient Brochure. http://share.iofbonehealth.org/WOD/2012/patient_brochure/WOD12-patient_brochure.pdf. 2024年2月にアクセス.
*5.Tsuboi M, et al. J Bone Joint Surg Br 89(4):461, 2007
*6.ミリマン・インク 日本における骨折による介護負担とその推移‐官庁統計を用いた分析. https://jp.milliman.com/-/media/milliman/importedfiles/uploadedfiles/insight/2019/client-report-fracture-care-cost.ashx. 2024年2月にアクセス.
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