業界未経験から防災備蓄品としての製品化に挑戦。5年の歳月に裏付けされたアイデア商品「その場で作る除菌ウエットタオル」の開発秘話と奮闘記

ヒジリヘルスケアプロダクツ株式会社(本社:東京都世田谷区 代表取締役:小澤英光)は創業70年の医療機器ディーラーで、日々全国のクリニックや医療施設へ医療機器の販売を行っています。


また、2023年には同代表が務める関連会社を吸収合併し、そちらで行っていた衛生用品の製造事業も継続し、現在はメディカル事業とクリーン事業の2つを行っています。


こちらのストーリーでは、クリーン事業で取り組んでいる防災備蓄品「その場で作る除菌ウエットタオル」の誕生から現在までの裏側について、本製品に開発当初から携わる製品管理責任者の宮澤健が当時を振り返りながらお伝えします。


※2023年以前の「当社、同社」等の表現は合併前の会社を指します。


使う直前に除菌液を浸して作るのが「その場で作る除菌ウエットタオル」の特長


■きっかけは自社の除菌消臭剤。お客様にとって関心の高い「長期保管性」の向上へ

はじめにお伝えしますが、当社は以前からウエットタオルの製造をしていた会社ではありません。さらに、2020年以前は防災業界での活動や実績もほぼありませんでした。

元々は医療機関やホテル、学校などでお使い頂く除菌消臭剤の製造販売を行っていて、ここがこのストーリーの出発点になります。


スタートは11年前まで遡ります。


2013年6月にノロウイルス対策や業務用消臭剤として、自社ブランドである除菌消臭剤「チャーミスト」は誕生しました。


「チャーミスト」はあらゆるウイルスや細菌類を99.9%以上除菌する効果と、人や環境への安全性に特長をもつ除菌消臭剤として販売をスタートさせました。

アルコール消毒のような刺激性が少ない点や、除菌と消臭が同時にできる点などが評判になり、徐々に医療機関、ホテル、飲食店、学校などで採用を頂けるようになっていきました。


新規の営業活動を続ける中で、チャーミストの除菌消臭効果や安全性だけでなく、意外にも「長期保管性」がお客様にとって興味関心の高い事項であることが分かってきました。


お話を聞いていくと、お客様にとって「せっかく買った商品が使い切る前に効果を失ってしまう」というのは、最初から欠陥のある商品を掴んだのと同じくらい損した気持ちになるという事を知りました。


元々チャーミストは製造当初の成分データでも2年間は品質が維持できると考えられていましたが、当社ではチャーミストの本当の品質保持期間を知るため、2013年から毎年濃度測定の試験を実施することにしました。


高い除菌効果と安全性、そして2000日以上の安定性を実証した「チャーミスト」


■愚直に続けて実証された5年間の品質保持期間、高まる自信と信頼

濃度測定試験は2013年に製造した検体を毎年同じ試験機関に提出して、除菌効果が落ちていないか測定するものでしたが、結果的に2018年までの5年間、除菌効果の劣化が見られない事が実証されました。


当初2年くらいと思っていた品質保持期間が、なんと更に3年以上も伸びたのです。


チャーミストの主成分である次亜塩素酸ナトリウムは、本来非常に濃度劣化が進みやすい成分ですが、チャーミストはその特殊製法により2000日以上の品質保持を実証する結果となりました。

愚直に5年間も試験を取り続けたことは自社製品への自信になっただけでなく、お客様からの信頼にも繋がり、営業先でも「他の会社さんには真似できない粘り勝ちだね」と当社の取り組みを褒めて頂く事もありました。


この5年間をかけて作った実績が自信になり、社内でも「5年保管ができる除菌剤なら防災備蓄品としてもいけるのでは」という案が持ち上がり、製品開発が本格的にスタートしました。


まさに実証主義に基づいた製品開発の第一歩でした。


■防災備蓄品としての開発を目指し、素人同然の知識から自治体へヒアリングする日々

しかし、物事はそんな簡単には進みません。


製品の品質が5年間劣化しないことは実証されましたが、「じゃあそれをどんな製品にして世の中に出していけば良いか?」となった時、当社には防災業界に精通している人が一人もいないことに気づきました。


防災業界についての知識が無かったので、まずは防災備蓄品について知ることから始めようと考えました。しかし、防災備蓄品について知ると言っても、そもそも誰に聞けば良いのか分かりませんでした。防災用品を扱っている取引先企業?、国の省庁?、東京都?、区役所?、ボランティア団体?、業界の専門書?

最初は本当にこのレベルからでした。


相談先が全く分からなかったので、まず当社の本社所在地がある世田谷区の災害対策課にダメ元で連絡を取ってみました。


「防災備蓄用の衛生用品を作ろうと計画しています。防災備蓄品について教えて下さい。」


今思えば、なんて間の抜けた問合せだったのかと恥ずかしい気持ちになりますが、こんな相談に対しても世田谷区の担当さんは断るどころか、丁寧に区の備蓄状況、自治体が必要としている条件などを教えてくださいました。

あまりにも私が初歩的なことを聞くので、もしかしたら「本当に何も知らない奴だ」と呆れていたのかもしれませんが・・・。


世田谷区で防災備蓄について色々と教えてもらえたことでイメージが湧き、他の自治体にもヒアリングを開始しました。社内の営業担当で手分けをして片っ端から電話したのを覚えています。目標は約1700の全自治体への電話連絡でしたが、実際は100件くらいで止めました。


決して電話を掛け続ける根気が無かったわけではありません。やろうと思えば、きっと1700全ての自治体に連絡はできたと思います。


しかし、100件くらいヒアリングをしていくと、どの自治体でも悩んでいることはほとんど同じだということが分かってきたのです。


ヒアリングをして上がってくる主な不満や悩みはこの3つでした。


  • 商品を購入するための予算が足りない
  • 新たな商品を追加で保管するための場所が無い
  • 長期保管をしても劣化しない品質の高さが重要


特に品質については、

「5年保存の食品を開けたらカビが生えていた」

「缶詰を開けたら、腐った臭いがした」

など実体験のお話も聞かせてもらいました。


そんな中、当社が製造を企画していた除菌ウエットタオルに関しても興味深い回答がありました。


それが、

「6000個買った除菌ウエットタオルのうち3000個が乾燥して固まっていた」

というものです。


なんと、除菌液が染み込んでいるはずのウエットタオルが、封を開けたら除菌液が揮発して乾燥していたというのです。

包装資材の問題なのか、取り出し口の糊付けが剥がれたせいなのか、備蓄倉庫の環境のせいなのか分かりませんが、使おうとした時にウエットタオルの液剤が乾いていたという話は、結果的に数十箇所の自治体で聞くことになり、この問題は想像していた以上に多いと実感しました。


このヒアリング調査の結果を元に、社内での製品企画会議は連日続きました。


満足の得られる効果があること・・・

保管場所を取らないこと・・・

いざという時に確実に使えるもの・・・

そして予算に収まること・・・・


繰り返し検証を行い、2019年の年末には最終的な製品の形が見えてきました。


検証や開発会議の結果、

  1. 備蓄中の乾燥を防ぐため、除菌剤と圧縮タオルは別にする。
  2. 使う直前に自分自身でウエットタオルを作ってもらう。
  3. 保管場所を取らないようにパッケージはコンパクトにする。
  4. 使用済みタオルの廃棄まで考えてゴミ袋をセットにする。


これらのアイディアが組み込まれ、製品化となりました。


初めて見たら誰もが驚く「使う直前に自分自身で除菌剤を圧縮タオルに注いで作る」というスタイルはここから生まれました。



5年以上の歳月をかけて誕生した「その場で作る除菌ウエットタオル」

製品を手にしているのは製品管理責任者・宮澤


■製品化するもコロナ禍の影響で失われたPRの機会

「その場で作る除菌ウエットタオル」の販売開始は2020年9月1日の"防災の日"に決まっていました。


しかし、2020年9月といえば同年の1月に始まった新型コロナウイルス感染拡大が収束せず、当社も除菌剤であるチャーミストの製造に追われていた時期でした。

なんとか予定通り9月1日には販売開始をしたものの、2020年〜2021年までの2年間はコロナ禍の影響が強く、商業展示会に出展することはできず、「その場で作る除菌ウエットタオル」をPRする機会はほとんどありませんでした。


この2年間は「せっかく作ったこの製品はいつお披露目できるのだろうか」と焦り、迷っていた時期でした。


■仕事を生み出したい思いで製造を委託、「防災」で繋がる 横浜

そんな販売拡大のプランが見えてこない2021年に1つの転機がありました。


それが横浜市のB型就労継続支援事業所との繋がりです。


その当時はコロナ禍で、企業以上に個人経営の飲食店や商店などが大変苦しい時期だったので、「その場で作る除菌ウエットタオル」の製造の一部をどこかに委託することで、仕事を生み出せないかと考えていました。その中で手を挙げてくださったのが、当社の製造工場がある横浜市内のB型就労継続支援事業所でした。


B型就労継続支援事業所とは障害や難病のある方が利用できる障害福祉サービスの1つで、一般企業などでのお勤めが難しい方が生産活動の対価としてお給料を受取りながら、知識や能力向上の訓練を受ける場となっています。


「その場で作る除菌ウエットタオル」の中に入っている三角に折られたビニール袋は、全てこの施設に通っている横浜市内にお住まいの皆様の手で1つずつ丁寧に折られています。

このビニール袋は、汚れた身体などを拭いたウエットタオルを衛生的に廃棄するためにあり、当製品にとって欠かすことのできない物となっています。

丁寧さと根気が必要な作業になり、生産に携わる皆様にはいつも感謝しています。


生産の一部をお願いしているB型就労継続支援事業所の皆様(写真提供:ステップ四季様)


また、横浜市内の4箇所のB型就労継続支援事業所に委託をしたことにより、その後横浜市からも声を掛けて頂き、同年より横浜市ふるさと納税返礼品としても採用を頂くことになりました。

横浜に製造工場のある当社、横浜にお住まいで一部製造を請け負ってくださっている施設の皆様、そして横浜市。


「防災」というテーマでメーカー、住民、自治体が繋がった瞬間でした。


■たくさんの方の想いが繋がった「その場で作る除菌ウエットタオル」、まだお会いしていない人にも届けられうように


2024年5月に開催された「第20回オフィス防災EXPO春」での展示ブースの様子



当社では2022年に念願だった展示会出展で商品PRができ、それまで取引の無かった企業とも商談が進み、有り難いことに2024年現在も販路を拡大させることが出来ています。


もしも・・・


  • 当社がチャーミストの製造を行っていなかったら。
  • チャーミストが2000日以上の品質保持を証明できていなかったら。
  • 製品化の前段階で各自治体から防災備蓄の実情を聞けていなかったら。
  • 横浜市の施設の皆さんとの繋がりが出来ていなかったら。


これらが1つでも欠けていたら、「その場で作る除菌ウエットタオル」は現在の立ち位置にはいませんし、このストーリーも存在しなかったと思います。


この記事を書いている数週間前も、東京ビッグサイトで開催されたオフィス防災EXPOに出展したことで、多くの方に興味関心を持って頂ける機会となりましたが、


「この製品には防災備蓄品として必要な要件が全て備わっている」


展示会場内でこの言葉をかけてもらえた時は、過去に積み重ねてきた試験データや経験、人との繋がりが無駄では無かったと実感しました。


これからもまだお会いしていない誰かのために「その場で作る除菌ウエットタオル」を届ける活動を続けていきます。


そして、業界未経験から始まったこのストーリーもまだまだ続きます。




<関連URL>

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【会社情報】

ヒジリヘルスケアプロダクツ株式会社

所在地:東京都世田谷区新町3-23-3

TEL:03-5450-0232(クリーン事業)

代表:小澤英光



【お問合せ先】

ヒジリヘルスケアプロダクツ株式会社

広報担当まで

info@hijiri-hp.co.jp






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