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メカノクロス、新しい合成方法で環境負荷、コスト削減実現へダイセルとの協業開始

株式会社メカノクロス
メカノケミカル有機合成技術を応用し、ダイセル社の製造課題を解決し電子材料や環境向け等の新材料における環境負荷低減とコスト削減の達成を目指します。また、今回の協業では、量産化を見据えた検討も実施します。





製造プロセスにおける溶媒を極少量に削減する有機合成反応技術(下図)を社会実装する北海道大学発ベンチャー、株式会社メカノクロス(本社:北海道札幌市、代表取締役CEO:齋藤 智久、以下「メカノクロス」)は、昨年よりダイセル社と協業の下準備を行ってきました。今回の協業では、溶媒を使用せずに合成できることから、電子材料や環境向け等の不溶性や難容性化合物の合成、機能化が可能な部分でメカノケミカル有機合成技術が活用されます。ダイセル社が抱える製品の製造課題を解決し、メカノケミカル有機合成プロセスによる量産化を目指します。



■メカノケミカル有機合成反応について
持続可能な社会の実現に向けて、各産業でカーボンニュートラルへの注目が集まっております。化学業界においてもこのトレンドは同様で、脱炭素施策として再生エネルギーの利用や生産条件の最適化など手が尽くされています。
一方で、化学合成のプロセスそのものは、依然として環境負荷が高いままであると考えています。現在の化学合成プロセスは、医薬品やスマホなど身の周りのモノを製造するために、100年以上前から同じ手法を用いています。この化学合成は石油由来の溶媒に材料を均一に溶解してなされるもので、原料を溶かすために、多ければ、原料の100倍もの量の溶媒が必要でした。この有機溶媒は、製造後に集められて産業廃棄物として燃焼処理され、大量の二酸化炭素を排出する問題がありました。
そんな中、弊社は機械的刺激による攪拌で、有機溶媒を用いる化学合成反応と同様の反応を起こす革新的な技術を保有しています(下図)。




この方法をメカノケミカル有機合成とし、弊社はこの技術を社会実装することで、化学プロセスの脱炭素化を実現することを目指します。
また、有機合成反応の適応性の広さも特徴的で、北海道大学工学研究院の伊藤研(伊藤卓越教授は、メカノクロスの取締役)では、多くの化学反応を実証してきました。



■溶媒削減可能性について
メカノケミカル有機合成は、医薬品の合成や化学材料の合成に用いられるカップリング反応において、溶液反応と比較して、生産性の高さや二酸化炭素排出削減が顕著であり、これまで学術的に多くの関心が寄せられています。




また、溶媒を用いる溶液合成法と比較して、溶媒を用いないため、設備自体がコンパクトで設備投資も小さいという利点(下図)もあります。さらに、例えば24時間かかる材料の合成反応が数分で終了するように、生産性の高さについても大きな利点になります。さらに、溶媒の規制や溶媒価格の高騰により供給責任に窮している企業に対しては、経済的にもサステナブルな化学合成手段として、プロセスの導入提案を行ってまいりました。今回、ダイセル社との協業では、製造工程における高い生産性と溶媒削減によるコストダウンや脱炭素に貢献することを目指します。



■メカノケミカル有機合成の量産化について
現在までに、ある反応において、最終生成物で約1kg/バッチ、または、連続で約5g/min.(7kg/day)程度の量産化の可能性を見出しています。
今回のダイセル社との取り組みでは、kgスケールの量産化検討を行い、実証可能性を検討します。将来的には、例えば100kg/day程度の量産機を設計し、生産化に対応していく予定です。

■今後の予定
今回のテーマは、電子材料や環境向け等の難溶性化合物で、その合成法は非常にハードルが高いものであるが、メカノケミカル有機合成の強みが活きるテーマでもあります。また、ダイセル社の当該製品は世の中を快適にする高機能な化合物となりますので、社会貢献の一面もあり、今回お声がけを頂いたことに感謝しております。
さらに、メカノケミカル有機合成技術で、kgスケールの量産化が可能になると様々な分野での応用可能性が拡がりますので、メカノクロスとしても注力テーマであるという認識です。

■株式会社ダイセル 主任研究員 池田 大次 コメント

2022年に、当社の難溶性化合物の有機合成触媒技術の改善を模索していた際に、北海道大学の伊藤肇卓越教授の研究グループが開発したメカノケミカル有機合成技術に興味をもち、伊藤先生にお声がけしたことがきっかけです。今回、メカノクロス社と協業開始できること、ワクワクしております。メカノケミカル有機合成技術の特徴である「省エネ」「不溶性原料への適応」等を活かし、これまでの有機合成触媒技術を革新します。また、当社が長年培ってきた有機合成触媒技術や生産技術を組み合わせることで、より早期の実用化を目指します。







■株式会社メカノクロス 代表取締役CEO 齋藤 智久 コメント

メカノケミカル有機合成方法は非常に大きく、多くの可能性を秘めていると考えている。その中で、今回のダイセル社との取り組みは、化合物の合成としての難しさ、量産化の難しさが相まっているが、この取り組みを乗り越えることで、メカノケミカル有機合成を社会実装とするという目的に対して、一歩前に進むと考えています。弊社としては、難容性の化合物の合成や機能化の分野が事業の1つの大きな柱となると考えているため、注力して取り組みたいと考えています。また、ダイセル社の製造課題解決にもつながる良いテーマですので、全力で取り組んでいく所存です。メカノクロスとしても新しいステージに向かうものと信じており、他社様にも役立つ技術と昇華していきます。





■ダイセルについて
ダイセルは、1919年に設立された化学メーカーです。セルロイドを製造する企業としてスタートし、100年以上にわたり最先端の素材をつくる技術を磨いてきました。現在ではセルロース化学、有機合成化学、高分子化学、火薬工学など多岐にわたる技術で、「健康」「安全・安心」「便利・快適」「環境」の領域において事業を展開しています。近年では、木材や農業廃棄物を超穏和な条件で可溶化する技術により、紙とプラスチックの性質を合わせ持つバイオマスフィルムや、バイオマス成形体を創出したり、セルロースやリグニンを常温で分離、利用する新しい方法を研究しています。この様な革新的な有機合成技術も活用しながら、環境負荷の低減と資源循環に貢献することを目指しています。

■メカノクロスについて
2018年から北海道大学の伊藤肇卓越教授、久保田浩司准教授が研究を始め、溶媒を使わずに有機合成できる技術について、5年かけて世界をリードする技術にまで押し上げました。
メカノクロスは現在、本技術を社会実装する目的で立ち上げ、2026年以降の本格的な市場参入に向け、国内外の製薬、化学メーカーなどと協力してメカノケミカル有機合成プロセスの導入実証を進めているところです。溶媒を極少量まで減らせ、反応性が高いことから、脱炭素対策向けや大幅なコスト削減向けを始めとして既存のプロセスよりも優位なデータを出せており、化学合成を用いるメーカーなどから積極的な引き合いを頂いております。
また、溶媒を使用しないことから、現在までに難しいとされていた不溶性化合物の合成も可能となり、半導体、ディスプレイ、電池材料のさらなる性能アップに寄与していきます。
メカノクロスは現在、北海道大学のほかに、各企業様とも共同研究、協業を進めています。今後はメカノケミカル有機合成の量産化技術を確立し、企業様のプロセス導入をサポートしてまいります。


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<メカノクロス 会社概要>
企業名:株式会社メカノクロス
本社所在地:北海道札幌市中央区北5条西29丁目2番33号 THE TERRACE宮の森B

研究拠点:北海道札幌市北区北 21 条西 10 丁目
国立大学法人北海道大学内 北海道大学化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD) 
代表者名:齋藤 智久
設立:2023年11月
URL:https://mechanocross.com
事業概要:
溶液有機合成反応のメカノケミカル化技術の提供
不溶性高機能材料の開発、提供
メカノケミカル有機合成関連情報発信

<本件に対するお問い合わせ>
弊社でご一緒に働いてみたい方、また、メカノケミカル実装研究会、弊社との協業にご興味のある方は、以下からお気軽にご連絡ください。

問い合わせフォーム:https://mechanocross.com/contact/
メールアドレス:yukiko.otsuka@mechanocross.com
採用フォーム:https://mechanocross.com/recruit/
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