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Craif、慶應義塾大学医学部との前立腺がんに関する共同研究成果をECA2024(欧州アンドロロジー学会) にて発表

Craif株式会社
 Craif株式会社(所在地:東京都文京区、CEO:小野瀬 隆一、以下Craif)は、ECA2024 (ヨーロッパアンドロロジー学会) にて、慶應義塾大学医学部 泌尿器科学教室の田中伸之専任講師、大家 基嗣教授らとの前立腺がんに関する研究成果「尿中エクソソームを用いた前立腺がんの新規診断法」を共同で発表したことをお知らせいたします。 
 Craifは今後も、がんの予防・早期発見に向けた新しい取り組みを広く届けることで、当社のミッションである“人々が天寿を全うする社会の実現”に挑戦してまいります。



■研究成果のポイント
- 近年、がん診断と治療のためのリキッドバイオプシー(血液や体液を用いた非侵襲的検査)の需要が急速に高まっています。
- 本研究では、尿中エクソソーム由来のマイクロRNAを利用した前立腺がんの新しい診断法を開発しました。エクソソームに保護されることで安定性が高い尿中マイクロRNAは、がん診断に有用なバイオマーカーとなる可能性があります。
- 非侵襲的な尿検査は患者への負担が軽く、自宅でのサンプル採取が可能です。
- 前立腺がん患者153名と健常者149名から尿サンプルを収集し、スモールRNAシーケンスでエクソソーム中のマイクロRNAを解析しました。解析結果を基に機械学習モデルを構築し、前立腺がんの検出に利用しました。
- 結果として、46種類の候補マイクロRNAを選択し、検出モデルの性能を評価したところ、AUCが0.94、感度97%、特異度91%と高い精度を示しました。
- この新しい尿検査法は、血液検査に比べて身体への負担が少なく、サンプルの保存や取り扱いも容易で、将来的には遠隔医療への導入も期待されます。


■用語説明
- エクソソーム: 細胞から分泌される小さな袋状の粒子で、体内の情報伝達に使われます。エクソソームにはマイクロRNAなどの物質が含まれており、がんの診断に役立つ重要な情報を運んでいます。
- マイクロRNA: 細胞の中にある非常に小さな分子で、遺伝子の働きを調節する役割を持っています。がん細胞ではマイクロRNAの種類や量が変化するため、病気の早期発見や診断の手がかりとなります。
- スモールRNAシーケンス: 細胞内のマイクロRNAなどの小さなRNAを調べるための分析技術です。スモールRNAシーケンスにより、尿や血液などからがんの兆候を詳しく解析できます。
- 機械学習: AI(人工知能)技術の1種で、大量のデータをもとに自らパターンを学習し、未来の予測や分類を行います。今回の研究では、がんの診断のために、マイクロRNAのデータを使って病気の有無を高精度に判定するために用いられました。
- AUC(曲線下面積): 診断の正確さを示す指標で、0から1までの値を取ります。1に近いほど診断の性能が高いことを意味します。
- 感度: 本研究においては、実際にがんがある人を正しく「がんあり」と診断できる割合を指します。感度が高いほど、見逃しが少ない診断法ということになります。
- 特異度: 本研究においては、実際にがんがない人を正しく「がんなし」と診断できる割合を指します。特異度が高いほど、誤って「がんあり」と診断することが少ないことを示します。


■ECA2024 について
・開催期間:2024年9月4日(水)~2024年9月6日(金)
・開催地:スウェーデン、ストックホルム
・公式ホームページ:https://eca2024.com/

■ Craifについて
Craifは、2018年創業の名古屋大学発ベンチャー企業です。尿などの簡単に採取できる体液中から、マイクロRNAをはじめとする病気に関連した生体物質を高い精度で検出する基盤技術「NANO IP(R)︎(NANO Intelligence Platform)」を有しています。CraifはNANO IP(R)︎を用いてがんの早期発見や一人ひとりに合わせた医療を実現するための検査の開発に取り組んでいます。

会社紹介の短編動画を新たに制作いたしました。(2024年9月)
Craifのビジョンや技術に関して、簡潔にご説明しておりますので、以下リンクよりご覧ください。