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順天堂医院での治験1例目のiPS細胞由来心筋球治療を実施いたしました

学校法人 順天堂
 先日、重症心不全に対する再生医療の治験として、「ヒトiPS細胞由来心筋球治療」を順天堂医院で施行いたしました。この治験は、Heartseed(ハートシード)株式会社が提供するiPS細胞由来の心筋球を用いた新しい細胞治療の可能性を検証するものです。順天堂医院はこの治験を実施した国内5番目の施設となります。
対象疾患は?
 この治験では虚血性心疾患(心筋梗塞)で冠動脈バイパス手術を受けられる患者さんで、心機能が低下している方が対象となります。具体的には心機能の指標である左心室の駆出率(LVEF)が15-40%の患者さんが対象となります。なお弁膜症など他の手術と同時に行うことはできません。
どんな治療?
 この治験では冠動脈バイパス手術と同時に細胞治療を行います。まずは冠動脈へのバイパス手術を行い、血管をつないだ後にiPS細胞由来の心筋球を、特殊な針を使って心臓の動きが悪くなっている箇所に直接投与します。
iPS細胞は健康な方から作られたものを用います。iPS細胞を非常に純度の高い心筋細胞に分化させこれを特殊な培養方法を用いて球状の塊にし、より心臓に生着しやすいように工夫しています(図左)。心臓に投与する際に用いる針もこの治療用に開発されたものであり、心臓をなるべく傷つけないよう、深く入りすぎないような工夫が施されています(図右)





治療にあたって必要なこと
 この治療では他人から作られたiPS細胞を用います。他人由来のものを用いた場合には拒絶反応が起こるため、これを防止するために免疫抑制剤とステロイドが使用されます。どちらも副作用の可能性がある薬であり、腎機能障害や糖尿病をお持ちの方はこの治療そのものが行えない可能性があります。詳しくは当院の担当医にお問い合わせください。
期待できる効果は? 副作用は?
 この治療は現在治験実施中であり有効性は明らかになっていません。一方でiPS細胞由来の心筋細胞を直接投与することから、心臓の収縮力を助ける効果を期待しています。
考えられる副作用としてiPS細胞による腫瘍の発生や不整脈の発生、免疫抑制剤による副作用の可能性などがあります。治験前の動物実験ではこれらの副作用の懸念はない、とされていますがヒトでの安全性はこの治験で検証されます。
どこで治療できますか?
 今回の治験実施は国内5番目の施設となります。この治療は希望する患者さん全員に実施可能なわけではなく、治験の登録基準に合致し、かつカンファレンスを行い治療の適応を慎重に判定しています。現在(2024年11月)当院をはじめ複数の施設が治験実施施設として登録されています。この治療について当院でお話を一度聞いてみたい方、患者さんをご紹介していただける医療者の方は順天堂医院のハートセンター外来、または順天堂医院心臓血管外科へご連絡ください。
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