日清オイリオグループと農研機構の共同研究 フライ食品のおいしさを表現する用語の体系化
日清オイリオグループ株式会社
~日本食品科学工学会第71回大会にて発表~
日清オイリオグループ株式会社(社長:久野 貴久、以下日清オイリオ)と国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(理事長:久間 和生、以下農研機構)の研究グループは、「食品のおいしさ」を官能評価の観点から追及し、それを活用したおいしい食品や新しいおいしさを持った食品の提供を通じて、人々のより豊かな生活を提案・創造するための共同研究を進めています。
おいしさの評価に重要な官能評価の精度向上を目指し、農研機構の官能評価系構築(評価用語の体系化)に関する技術と日清オイリオの油脂・油調食品に関する研究開発技術を掛け合わせ、コロッケの官能評価用語を体系化しました。この評価用語体系の活用は、フライ食品の特性のより正確な評価や、さらなる品質向上につながると考えられます。
当研究グループは、この研究の成果を日本食品科学工学会 第71回大会 (会期:2024年8月29日~31日)において発表いたしました。
【研究の背景と目的】
近年、市販・業務用のフライ食品の需要が増加しています。それに伴い、フライ食品のおいしさを構成する要素(衣のサクサクした食感や、食欲をそそる香り、見た目等)を数値化する技術に対するニーズが高まっています。コロッケをはじめとするフライ食品のおいしさという価値を向上させるには、分析機器による評価だけではなく、「人が実際に食べてどう感じるか」という官能評価の視点が重要です。官能評価は、フライ食品が消費されるまでのあらゆる工程(原料メーカーや食品メーカーにおける研究開発・生産~加工・流通工程および、その先の消費者が購入して食べる消費工程)に深く関わっており、おいしさ価値についての共通理解を形成するために重要となっています。しかし、官能評価に用いる言葉(評価用語)の定義や用途が人や組織によって違うことで、官能評価の精度が低くなることが課題となっていました。そこで当研究グループは、フライ食品の官能評価の精度向上とコミュニケーションの円滑化を目指し、コロッケの官能評価用語体系を構築することを目的に、共同研究を実施しました(図1)。
図1 本研究の概略図
【研究の概要】
1.本研究ではまず代表的なフライ食品であるコロッケを対象とし、そのおいしさに関連する評価用語
体系を開発しました。市場に流通しているコロッケの特徴を網羅するように調製した50種類のモデルコロッケについて、16名の熟練した評価者が感じた特徴を言葉で表しました。これにより外観/喫食前の香り/喫食中の風味/食感について約600語の表現を収集しました。これらの表現について整理、統合、分類し、各用語に定義を付け、最終的に75語からなるコロッケの官能評価用語体系を構築しました(図2)。
図2 コロッケの官能評価用語体系(抜粋)
2.次に、開発した評価用語体系の性能を評価するために、市販のコロッケを対象とした官能評価を実施しました。まず評価用語リストの中から特にフライ食品の評価において重要だと考えられる主要用語を32語選定し、それぞれの強度を評価するための尺度見本(官能評価において点数をつける際に見本として参照するための試料)を設定しました。その後これらの主要用語を評価項目として15種類の市販コロッケを対象とした官能評価を実施し、得られた結果を統計解析手法によって解析したところ、開発した評価用語体系は各種コロッケの特徴を的確に捉えており、おいしさに関わるフライ食品の品質特性を数値化する官能評価手法として有用であることが示されました。
【今後の展望】
今後、今回選択した32語の主要用語以外にも尺度見本を設定し、また全用語に類義語を拡充させる予定です。こうした評価用語体系の実用化により、組織間で品質情報を共有する際に参照資料とするコミュニケーションツールとしての機能がさらに強化され、フライ食品のおいしさに関わる特性の評価精度や共感度を向上することが可能になります。これにより製品開発のスピードアップや、より精緻な品質管理が可能になります。さらに実用化された評価用語が普及することで、フライ食品に関わる消費・開発・研究・生産・流通に携わる多くの人々の間のコミュニケーションを助けることにつながると期待されます。
体系的な官能評価を通じて、食用油脂がフライ食品のおいしさに与える影響や機能をより詳細に可視化できるようになり、フライ食品における油脂の魅力を最大限に引き出すことが可能となります。当研究グループは、食品のおいしさを精密に評価する技術を究め続けることで、よりおいしい食品や新しいおいしさを持った食品を創り出し、人々により豊かな生活を届けるための研究を推進していきます。
【発表内容】
日本食品科学工学会 第71回大会※
発表タイトル:フライ食品の官能評価語体系の開発
発表者:長井 香1、千葉 典子1、中野 優子2、青柳 寛司1、赤羽 明1、上原 秀隆1、早川 文代2
(1. 日清オイリオグループ(株)、2. (国研)農研機構 食品研究部門)
※台風接近の影響を受けて対面開催は中止されましたが、主催者側より「プログラム・講演要旨の公開をもって講演・発表が行われたものとみなす」との見解が発表されています。
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~日本食品科学工学会第71回大会にて発表~
日清オイリオグループ株式会社(社長:久野 貴久、以下日清オイリオ)と国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(理事長:久間 和生、以下農研機構)の研究グループは、「食品のおいしさ」を官能評価の観点から追及し、それを活用したおいしい食品や新しいおいしさを持った食品の提供を通じて、人々のより豊かな生活を提案・創造するための共同研究を進めています。
おいしさの評価に重要な官能評価の精度向上を目指し、農研機構の官能評価系構築(評価用語の体系化)に関する技術と日清オイリオの油脂・油調食品に関する研究開発技術を掛け合わせ、コロッケの官能評価用語を体系化しました。この評価用語体系の活用は、フライ食品の特性のより正確な評価や、さらなる品質向上につながると考えられます。
当研究グループは、この研究の成果を日本食品科学工学会 第71回大会 (会期:2024年8月29日~31日)において発表いたしました。
【研究の背景と目的】
近年、市販・業務用のフライ食品の需要が増加しています。それに伴い、フライ食品のおいしさを構成する要素(衣のサクサクした食感や、食欲をそそる香り、見た目等)を数値化する技術に対するニーズが高まっています。コロッケをはじめとするフライ食品のおいしさという価値を向上させるには、分析機器による評価だけではなく、「人が実際に食べてどう感じるか」という官能評価の視点が重要です。官能評価は、フライ食品が消費されるまでのあらゆる工程(原料メーカーや食品メーカーにおける研究開発・生産~加工・流通工程および、その先の消費者が購入して食べる消費工程)に深く関わっており、おいしさ価値についての共通理解を形成するために重要となっています。しかし、官能評価に用いる言葉(評価用語)の定義や用途が人や組織によって違うことで、官能評価の精度が低くなることが課題となっていました。そこで当研究グループは、フライ食品の官能評価の精度向上とコミュニケーションの円滑化を目指し、コロッケの官能評価用語体系を構築することを目的に、共同研究を実施しました(図1)。
図1 本研究の概略図
【研究の概要】
1.本研究ではまず代表的なフライ食品であるコロッケを対象とし、そのおいしさに関連する評価用語
体系を開発しました。市場に流通しているコロッケの特徴を網羅するように調製した50種類のモデルコロッケについて、16名の熟練した評価者が感じた特徴を言葉で表しました。これにより外観/喫食前の香り/喫食中の風味/食感について約600語の表現を収集しました。これらの表現について整理、統合、分類し、各用語に定義を付け、最終的に75語からなるコロッケの官能評価用語体系を構築しました(図2)。
図2 コロッケの官能評価用語体系(抜粋)
2.次に、開発した評価用語体系の性能を評価するために、市販のコロッケを対象とした官能評価を実施しました。まず評価用語リストの中から特にフライ食品の評価において重要だと考えられる主要用語を32語選定し、それぞれの強度を評価するための尺度見本(官能評価において点数をつける際に見本として参照するための試料)を設定しました。その後これらの主要用語を評価項目として15種類の市販コロッケを対象とした官能評価を実施し、得られた結果を統計解析手法によって解析したところ、開発した評価用語体系は各種コロッケの特徴を的確に捉えており、おいしさに関わるフライ食品の品質特性を数値化する官能評価手法として有用であることが示されました。
【今後の展望】
今後、今回選択した32語の主要用語以外にも尺度見本を設定し、また全用語に類義語を拡充させる予定です。こうした評価用語体系の実用化により、組織間で品質情報を共有する際に参照資料とするコミュニケーションツールとしての機能がさらに強化され、フライ食品のおいしさに関わる特性の評価精度や共感度を向上することが可能になります。これにより製品開発のスピードアップや、より精緻な品質管理が可能になります。さらに実用化された評価用語が普及することで、フライ食品に関わる消費・開発・研究・生産・流通に携わる多くの人々の間のコミュニケーションを助けることにつながると期待されます。
体系的な官能評価を通じて、食用油脂がフライ食品のおいしさに与える影響や機能をより詳細に可視化できるようになり、フライ食品における油脂の魅力を最大限に引き出すことが可能となります。当研究グループは、食品のおいしさを精密に評価する技術を究め続けることで、よりおいしい食品や新しいおいしさを持った食品を創り出し、人々により豊かな生活を届けるための研究を推進していきます。
【発表内容】
日本食品科学工学会 第71回大会※
発表タイトル:フライ食品の官能評価語体系の開発
発表者:長井 香1、千葉 典子1、中野 優子2、青柳 寛司1、赤羽 明1、上原 秀隆1、早川 文代2
(1. 日清オイリオグループ(株)、2. (国研)農研機構 食品研究部門)
※台風接近の影響を受けて対面開催は中止されましたが、主催者側より「プログラム・講演要旨の公開をもって講演・発表が行われたものとみなす」との見解が発表されています。
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(2024/09/13 15:00)
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