適度な運動とカルシウム摂取
~日光浴も―骨粗しょう症の予防(そしがや大蔵クリニック 中山久徳院長)~
運動不足によるフレイル(加齢で筋力が低下し心身が弱った状態)のリスクが高まっている。骨粗しょう症などが専門のそしがや大蔵クリニック(東京都世田谷区)の中山久徳院長に予防策を尋ねた。
円背
◇骨の衰えに注意
コロナ禍以降、在宅勤務などが増えた影響で運動不足となり、若い人でも骨密度や筋力の低下が目立つようになったという。「骨の衰えは自分では気付きません。日常的に骨を丈夫にする習慣が大切です」
骨の構造がスカスカしてもろくなる骨粗しょう症は、閉経後の女性に多い。関節リウマチや糖尿病の患者、ステロイド薬を服用する人、親が骨粗しょう症の人もリスクが高くなる。
骨粗しょう症になると、40~50代では転んで手を付いた際に骨折することが増える。60代以上では、もろくなっている腰や背中の骨に自分の体重がかかり、気付かないうちに骨が徐々につぶれる圧迫骨折が増える。
幾つか圧迫骨折が起こると、背が丸まって脊柱が前に倒れた状態である円背(えんぱい)になる。「心配な人は、壁に背中を着け、頭が壁に着くか確認するといいでしょう」
70代では、転倒などによる大腿(だいたい)骨近位部骨折が増える。これは寝たきりになりかねない危険な骨折だ。
◇骨を丈夫にする工夫
骨粗しょう症の予防には〔1〕適度な運動〔2〕十分なカルシウム摂取〔3〕適度に日光を浴び、皮膚に紫外線を当てること―の三つが不可欠。運動については、「骨は負荷や振動を加えると丈夫になります。ウオーキングの際も漫然と歩くのではなく、力強い足踏みを意識するとよいでしょう」と中山院長。
食事には、骨を丈夫にするカルシウムとビタミンDを多く取りたい。カルシウムは吸収率が悪いため、レモンなどに含まれるクエン酸と一緒に取るとよい。牛乳にレモン汁を入れたり、小魚や大豆製品、乳製品入りのパスタや炒め物にレモン汁を掛けたりするのがお勧めだ。
ビタミンDには、脳から筋肉に指令を送る働きを助ける作用があり、不足すると段差につまずいたり、転倒しやすくなったりする。「日光に当たればビタミンDが生成されます。曇りの時や日陰でも構いませんので、日光に一定時間当たるよう心掛けてください」
ビタミンDの生成に必要な日光照射時間が分かる国立環境研究所・地球環境研究センターのサイトがある。最寄りの観測局を選ぶと、ビタミンD生成のための推奨時間が表示される。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2025/01/15 05:00)
【関連記事】