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厳しい高齢の出産
「妊活」の限界知ろう

 ◇カップルで来院増加

 妊活をめぐる変化にも注目したい。カップルで埼玉医科大学病院を訪れるケースが増えているからだ。石原教授は「男性不妊のことが報道されるなどして、周知の度合いが上がってきたからだろうか。いずれにしろ、良いことだと思う。不妊の原因は男女双方にあるのだから」と評価する。

出産を喜ぶ夫妻(イメージ)

 ◇足りない社会的支援

 女性の高学歴化や社会進出などで、「子どもを持ちたい、妊娠したい」と望む女性の年齢が上がっている。しかし、高齢になるほど妊娠はしにくくなる。日本や韓国、台湾など東アジア諸国の出生率は低い。大きな要因の一つは経済的なものだとみられる。「フランスやスウェーデンなど欧州の国で出生率が回復したのは、国による経済的なサポートがあることも大きい。日本は社会的なサポートが足りない」

 初産年齢が上昇している。日本全体では、30歳を超え、東京23区では約34歳とみられている。かつては祖父や祖母になるのは50歳頃だった。現在、孫を得る時には、70歳を超えていることも珍しくない。自らの体力的な衰えもあり、昔のように孫の面倒を見ることはできなくなる。これも、サポート力の低下につながっている。

 欧州では、シングルの女性やレズビアンのカップルらが、第三者に精子を提供してもらい、子どもを持つ人が増えているという。日本や韓国では、生まれた子どものうち「未婚」の女性が出産した子どもの割合は約3%と極めて少ない。欧州や米国は、30~40%が婚姻していない女性の出産だ。この差は大きい。

 「女性が妊娠したと分かると、相手の男性と結婚する。シングルの女性が子どもを産むと、社会的サポートが受けられないことの裏返しではないか」

埼玉医科大学の石原理教授

◇養子という選択肢も

 どうしても子どもが欲しい、という思いは切実だ。ただ、妊娠出産が難しければ、他の多様な選択肢もあるのではないか、と石原教授は問題提起する。日本では想像できないが、外国では「国際養子」が普通だ。かつて米国や欧米は、中国や韓国、ベトナムなどから養子を迎え入れた。現在はアフリカ諸国の子どもを養子にするのが主流という。

 日本にも特別養子縁組制度はあるが、国は直接関与せず、民間の団体が養子をあっせんしている。団体によってさまざまな要件が課されるが、子どもを育てた経験を問われるなど、かなりハードルは高い。このため、養子縁組が実現するまで時間がかかることもあるという。(鈴木豊)

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