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厳しい高齢の出産
「妊活」の限界知ろう

 「妊活」という言葉が定着しつつあるように、子どもが欲しいと望むカップルは多い。製薬会社の調査(2018年)でも、20~40代の男女の半数が「いつか子どもが欲しい」と考えていた。ただ、専門家は「基本的に高齢な女性ほど妊娠しにくいことを知ってもらいたい」とした上で、シングル(独身)の女性の出産に対する支援や養子制度の充実など多様な選択肢が大切だ、と指摘する。

働く男女の4人に1人が妊活の経験

 ◇37歳で確率急低下

 製薬会社メルクバイオファーマが2019年に20~40代の男女約2万3200人を対象に実施したインターネット調査によると、働いている4人に1人が「妊活の経験がある」と回答。このうち約半数が「不妊治療の経験がある」と答えた。

 妊活における問題は、年齢が高い女性は出産が難しいケースが多い点だ。埼玉医科大学の石原理教授(いしはら・おさむ=産科婦人科学教室)は「例えば、38歳で結婚し40歳まで妊娠しない人が受診する。私たちとしては、ありとあらゆる方法を試すが、うまくいかないこともある」と語る。

 「まだ、妊娠するのは大丈夫だ」と考えている35歳前後の女性も多いだろう。石原教授によると、20~25歳の女性は妊孕性(にんようせい=妊娠する力)が高い。ところが、妊孕性は35歳で低下し始め、37歳になると急激に低下する。45歳以上では極めて厳しい状況になる。「生物学的に言えば、卵子の質が低下する。それは治療の問題ではなく、自然なことだという点を理解してほしい」と強調する。

生まれたばかりの赤ちゃん(イメージ)

 ◇体外受精にもハードル

 なかなか妊娠しないときに、まずチェックする必要があるのは「卵管閉塞(へいそく)」と「男性因子」だ。男性の側に、無精子症か精子の量が極端に少ないこともある。世界保健機関(WHO)も、まず行うべき検査として卵管検査と精液検査を推奨している。ただ、いろいろと調べてみても、不妊の原因が分からない人は多いという。

 不妊治療の決め手とされる体外受精にも課題はある。体内から卵子を取り出し(採卵)、体外で受精させ、胚を子宮に戻す方法だが、石原教授は「37歳という年齢を超えると、うまくいかない可能性が高くなる」と指摘する。

 以前より体外受精を望む人の治療上の負担は軽減されたが、最も良いタイミングで採卵する必要がある点は変わらない。働いている女性の場合、職場の上司や同僚の理解が不可欠だ。メルクの調査では、従業員300人以上の企業でも、女性が職場で妊活について相談しやすい状況にはない。

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