治療・予防

五十肩と似て非なるインピンジメント症候群 
姿勢が大きく影響

 インピンジメント症候群は、腕を上げたりひねったりするときに肩に痛みや引っ掛かりを感じる症状の総称で、肩関節の周囲で筋肉や骨がぶつかって生じる。インピンジメントとは衝突という意味を持つ。治療では、症状を引き起こす要因を突き止めることが重要になる。AR―Ex尾山台整形外科(東京都世田谷区)の平田正純副院長は「五十肩と混同されやすい病気ですが、全く別ものです」と強調する。

肩関節の周囲で筋肉や骨がぶつかって肩に痛みが生じる

 ▽痛いが動く点が特徴

 肩関節は多くの筋肉や腱(けん)、靱帯(じんたい)が存在し、可動範囲が広く複雑に動く部位だ。インピンジメント症候群は、肩の「肩峰(けんぽう)」という骨の下にある「滑液包」の部分において、上腕骨を包むように存在する「腱板(けんばん)」という筋肉が、上腕骨と肩峰の間に衝突したり挟まったりして痛みを起こす。

 具体的には、腕を下から横、真上に上げていくと、60~120度の間で痛みや引っ掛かりが生じ、さらに上げると症状が消える。腕を下ろす時も同様だ。平田副院長は「腕が上がらなくなる五十肩と違い、動かせるけれど痛いのが特徴です」と話す。

 症状を引き起こす要因は幾つか考えられる。加齢により肩峰の下にできた骨棘(こつきょく)というとげのような骨が当たる、腱板断裂、腱板内に石灰が沈着する―などだ。特に腱板断裂は高齢者に多く、平田副院長も「加齢や外傷で、気付かないうちに腱板断裂を起こしている人は少なくありません」と話す。しかしこれらの要因があっても、症状がさほど表れないことがある。左右しているのは姿勢だという。「両肩が内側に向いている巻き肩や猫背は、肩関節の可動域を狭くし、衝突が起こりやすくなります」と説明する。

 ▽リハビリで改善目指す

 同院ではインピンジメント症候群の検査に、超音波(エコー)を用いている。磁気共鳴画像装置(MRI)と違い、実際に肩を動かしながら確認できるので、正確な診断に役立つ。インピンジメント症候群は姿勢を矯正するだけで症状が改善するケースが多いため、同院では保存療法に力を入れている。「姿勢指導と肩周りや体幹の筋力強化を中心としたリハビリを、最低でも3カ月間行います」と平田副院長。リハビリで症状が改善しない場合は、関節鏡による手術が検討されるが、その例は極めて少ないという。

 インピンジメント症候群の予防について、平田副院長は「普段から左右の肩甲骨をギュッと寄せるようにすると、姿勢が良くなり美しく見えます。意識して行うようにしてください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)

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