インタビュー

ジェネリックへの誤解解く=武藤正樹医師に聞く(下)

 ◇米、独の高い普及率

 ―海外では日本よりジェネリックが使われているのでしょうか。

 武藤 先進国の中で一番シェアが高いのは米国で、9割の人がジェネリックを使っています。保険会社が保険適用で使用できる薬をジェネリックに限定しているためです。先発品を選べば自己負担になるので、先発品という「ブランド」にこだわる人は金を余分に払います。フランスも日本と同じようにブランド志向が高く、ジェネリック後進国でした。財政上の問題で立ちいかなくなり、国家の制度を変えたところ、一気にシェアが逆転しました。ドイツの普及率は8割ですが、以前から当たり前のようにジェネリックが使われています。日本のシェアは先進7か国中で一番低くなっています。

 ―日本が欧米と比べてジェネリックが普及しないのには何か理由がありますか。

 武藤 日本では、子どもや高齢者、生活保護者はジェネリックのシェアが非常に少なく、先発品が選ばれています。自己負担の必要がないか、負担額が少ないからです。自己負担額が多くなければ、ほとんどの人は先発品を選びます。個人的に大きな負担がなければ、医師が積極的に勧めない限り、国家財政のことを考えてあえてジェネリックを選ぶ人はいません。日本には、国民皆保険という貧富に関係なくすべての人が最善の医療が受けられる素晴らしい制度があります。しかし、医療費が膨れ上がり、財政が破綻すると制度自体維持できなくなります。現在、医療制度全体の見直しを迫られているところです。

 ー大手新薬メーカーの製品の方が副作用や健康被害があったときに安心だと思っている人が多いのでしょうか。

 武藤 品質に対する信頼性を確保するため、国立医薬品食品衛生研究所が事務局となってジェネリック医薬品品質情報検討会を設置し、調査や試験を実施しています。病院や診療所で処方された医薬品や薬局などで購入した市販薬を適正に使用したにもかかわらず、副作用により重篤な健康被害が生じた場合は、医療費や年金などの給付を行う公的な補償制度があります。健康被害の補償に関しては、先発品メーカーも後発品メーカーも同じで、その点は心配ありません。

 患者の中には、ジェネリックというだけで効かないと思いこんでしまう人もいます。ジェネリックに対しての不信感は、実は新薬メーカーにもあてはまることが多く、ジェネリックに関心が高まり、一般の人からチェック機能が働くことで、医薬品メーカー全体に眼が向けられるきっかけになればよいと思っています。

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