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研究力を重視―東京医科歯科大学 
世界のリーダーを育てる

 ◇たすきがけ研修

 卒業後の初期研修は、最先端医療を経験できる大学と、一般診療を幅広く経験できる関連病院の両方で行う「たすきがけ研修」を他大学に先駆けて行っている。

インタビューに応える北川昌伸医学部長

インタビューに応える北川昌伸医学部長

 「面接で『なぜうちの大学での研修を希望したか』と聞くと、『たすきがけができるから』と答える人が多い。希望者がたくさん集まってくれるので、とても研修のしがいがあります」。初期研修先を決める医師臨床研修マッチングの結果、毎年フルマッチで募集定員がいっぱいになるという。

 ◇血液病理にやりがい

 北川医学部長は東京都の出身。東京教育大学付属高校(現・筑波大学付属駒場高校)に通い、バレーボール部に所属。エースアタッカーとして活躍した。進学は国立理系希望で第一志望は宇宙工学が学べる工学部。医学部に進学したのは、最終的に合格した学部だったからだという。

 「困っている人を助けたいとか、家族に病気の人がいて、とかいう純粋な理由じゃないんですよね」と北川医学部長。臨床には向かないと判断し、研究者の道へ。顕微鏡で血液の細胞をみる形態学に興味をもち、研究に没頭した。

 「研究の結果、血液の病気の一つである骨髄異形成症候群(MDS)の病態を明らかにして、新しい観点からの治療アプローチの可能性を示すことができました」

 一方、血液病理の仕事にやりがいも感じた。

 「自分が誤診すると患者さんに間違った治療をしてしまうという緊張感がありました。病理診断し、治療で患者さんがよくなっても、直接患者さんと接することのない病理医は『ありがとうございました』と言われることはもちろんないわけですが、うれしかったですね」

東京医科歯科大学

東京医科歯科大学

 ◇さらなる特色を

 今後は付属病院の活性化を目指して、手術室などを充実させた機能強化棟を建設する予定だ。3年後の完成を目指す。「どの大学も経済的に厳しいですが、医学部の教育にも使えるので頑張りながらやっていこうと思います」

 各大学がさまざまな方向から取り組むAIの導入に関しては、とくにデータサイエンスに着目。他大学の協力も得て、医学分野のビッグデータを扱える人材を育てていく方針だ。

 「最終的には大学にデータサイエンスの学部を作るところまでいきたいですが、なかなかハードルが高い。まずは研究レベルで取り組むところから始めていく方針です」。周辺に大学病院が隣接する中、東京医科歯科大学ならではの特色ある医療、研究、教育を目指す取り組みが進められている。

【東京医科歯科大学医学部 沿革】
1928年 東京高等歯科医学校を設置
  44年 東京医学私学専門学校となり医学科を設置
  46年 東京医科歯科大学(旧制)設置
  51年 東京医科歯科大学(新制)設置
  55年 大学院医学研究科を設置
  73年 難治疾患研究所を設置
  93年 疾患遺伝子実験センターを設置
  95年 情報処理センターを設置
  96年 機器分析センターを設置
  98年 アイソトープ総合センターを設置

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