医学トップの視座

研究力を重視―東京医科歯科大学 
世界のリーダーを育てる

 東京医科歯科大学は1928年、東京高等歯科医学校として発足、16年後に医学科が設置されて現在に至る。国立大学ならではの研究や医学教育に力を入れ、日本で最も早く日本医学教育評価機構から医学教育分野別評価を受審。2回目の準備を進めている。北川昌伸医学部長は「医学部と歯学部からなる医療系大学の特徴を生かし、難病研究や医学、歯学を融合した研究など従来の取り組みに加え、人工知能(AI)の活用を視野に入れたデータサイエンスなど新しいことも積極的に導入していきたい」と意気込みを語る。

インタビューに応える北川昌伸医学部長

 ◇希少疾患対策に伝統

 東京医科歯科大学は、旧帝大医学部に続いて全国で14番目に設立された。北川医学部長は「全般的に一流の医療を目指す東大と同じことをするだけの体力、マンパワー、経済力はありませんから、特色をもって医療や研究、教育を進めていくというスタンスでやってきました」と同大学医学部の立ち位置を説明する。

 臨床につながる研究を重視し、とりわけ希少疾患に関しては全国をリードする成果をあげてきた。付属病院の難病治療部先端治療センターには、膠原(こうげん)病・リウマチ、潰瘍性大腸炎・クローン病、神経難病など五つの先端治療センターがあり、それぞれ対象とする疾患群に対する専門的・診療科横断的な治療を提供している。

 「やはり国立大学として、他の大学が熱心に取り組んでいるがんなどよりも、なかなかできない希少疾患で力を発揮してきました」と北川部長。

 特に患者数が限られた希少疾患対策は、経済的負担が大きいが、集約化によって明らかになることも多い。その中心的な役割を担ってきたことの意義は大きい。

 ◇グローバル化を推進

 医学教育では独自の方法をとるハーバード大学と提携し、改革にいち早く取り組んできた。「毎年大学のスタッフを現地に派遣してカリキュラムの作り方、実習の方法などを勉強させてもらっています」

 カリキュラムの進め方も縦割りの科別教育から、一定期間、同じテーマを扱う方法を導入。最近ではアクティブラーニング形式の教育をする医学部も増えているが、日本で導入したのは同医学部が初めてである。

東京医科歯科大学

 また、『日本の医学のリーダーから世界の医学のリーダーに』をスローガンに掲げ、海外で研修が受けられる体制を作っている。ハーバード大学、インペリアルカレッジ(英国)をはじめとする多くの海外大学医学部に学生を派遣するほか、チリ、タイ、ガーナに三つの海外研究拠点を設け、寄生虫やウイルスなどの研究に取り組んでいる。

 「海外研修の前には英語でのプレゼンテーション、研究の方法などを教えます。また、現地で患者に接するための準備教育として、米国海軍医などの協力も得ています。外国人教員も増員しており、教養課程の英語ではなく、医学教育そのものを英語でできるようにしていきたい」

 ◇医歯学融合プログラム

 歯学部のある大学ならではの取り組みとして、教育、臨床、研究の各分野で医歯学融合を推進している。

 近年、歯周病菌が全身の病気に悪影響を及ぼすことが明らかになり、病棟の入院患者に対する口腔(こうくう)ケアの重要性が高まっている。このため、歯学部が養成する歯科衛生士に病棟での管理にも参加してもらい、多職種連携での患者サービスを行っているという。

 「臨床では医師と歯科医師の役割は明らかに異なりますが、基礎医学の分野では次第に垣根がなくなってきています。お互いに協力できることは共同で効率よく研究や教育を進めるようにしていきたい」

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