教えて!けいゆう先生

重要さ増す患者情報の共有 
昔はドイツ語だったカルテ記載

 患者さんに関わる人たち全てが、医療情報を把握するためカルテに目を通すのです。 

 医療が進歩して複雑化、細分化した結果、今や一人の患者さんに膨大な数の医療者が関わるようになっています。カルテに書かれた情報は、これら多職種の人たちで簡単に共有されなければなりません。 

 誰もが最も理解しやすい母国語で書かない理由がないのです。 

 ◇母国語で書ける国 

 そもそも日本は、「カルテを全て母国語で書ける」という、世界的には恵まれた国です。これができるのは、ほぼ全ての医学用語に日本語訳がきちんとあるからです。おそらく明治時代の偉人たちが、当時外国語でしか表現しようのなかった医学用語に、一つ一つ丁寧に日本語訳を「作ってくれた」からでしょう。 

 私たち医療者が、母国語で書かれた教科書だけで医学を学習できるのも、そのおかげです。一方、日本以外の人を読者として想定した論文などの場合は、英語で書くことになります。「誰が読むか」を考えてみると、おのずと「どんな言語を選ぶべきか」は明らかになる、ということなのです。(外科医・山本健人) 

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