知られていない高齢者てんかん=気づかないと死の危険も―久保田有一医師
◇ビデオ脳波モニタリングで発見
67歳の元教職員の男性は首都高速道路で2回、追突事故を起こした。「前方不注意」として事故は処理されたが、本人には全く自覚がなく、通常の検査でも異常は発見できなかった。ここで威力を発揮したのが、同センターで行う「長時間ビデオ脳波モニタリング」だ。入院した患者は1週間、脳波電極を付けて個室で生活する。患者の様子をビデオに記録し、脳波の変化と合わせることによって診断を下す。この患者が1週間のモニタリングで発作を起こしたのは1回だけだった。
このビデオ映像を見ると、患者は足をトントンと細かく動かし、手をグッと握り締めている。この間、意識は途切れているが、けいれんは見られない。ただ、患者の妻は「夫が貧乏揺すりをしていたことがある」と話したという。
高齢者のてんかん患者が医療機関を受診し、うつ病や認知症と診断されることもある。しかし、そうした治療ではてんかんは治らない。銀行を定年退職した男性もそんな患者の一人だったが、モニタリングでてんかんだということが判明した。この患者は一人暮らし。もし、調理で火を使っていたり、風呂に入っていたりする時にてんかんの発作に襲われれば、死に至る可能性もあった。
(2017/07/25 13:46)