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最期の身支度、家族も一緒に
「エンゼルメイク」が心のケアに

 ◇メークが心の救いに

 家族にとってエンゼルメイクは、「最期の別れの時間」をつくることにもなる。みとりの場所が病院に移り、葬儀も簡素化される傾向にある。亡くなった場所からそのまま火葬場へ送られる直葬も一般的になった。そういう時代だからこそ、最期の身支度は生前の面影をたどる家族の掛け替えのない時間になると小林さんは考えている。

 「大切なのは、家族にとって『得心がいく』みとりができるかどうか。エンゼルメイクはそのための貴重な手段だと言えるでしょう」

 重要なのは、亡くなった人の身支度に関わることが家族一人ひとりの心のケアになることだ。亡くなって間もない、まだぬくもりが残っている時間帯をどう過ごすか―それは残された人のその先の人生にまで大きく影響するという。

 大切な人を喪失する体験が悲しくないはずがない。小林さんは「生前にどれほどその人のために尽くしたつもりでも、最後は後悔の念が湧き出てくる。それでも、最期に爪を切ってあげた、靴下をはかせてあげたといったことが、ほんのわずかでも救いになる。このわずかな救いが、その先の人生において必ずプラスになると思うのです」と強調する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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