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最期の身支度、家族も一緒に
「エンゼルメイク」が心のケアに

 亡くなった人の体を拭き、髪を整える―。「エンゼルメイク」とは「顔のメークだけでなく、爪を切る、服を着替えさせるなど、全身の身だしなみを整える行為すべてを指します」と説明するのは「エンゼルメイク研究会」代表の小林光恵さんだ。今は遺体の身支度は亡くなった先の病院で看護師が行うことがほとんど。しかし、小林さんは「残された家族も一緒に行うことで心のケアになる」と遺族にも関わるよう呼び掛けている。

 ◇「死」が非日常に

 「そもそもエンゼルメイクは、自宅で家族が行うのが当たり前でした」と小林さん。かつて日本人が自分の家で死を迎えるのが当たり前だった時代、体を拭くなど遺体の身だしなみを整えることは、みとった家族が当然のように行っていた。

 変化したのは1970年代。人が自宅ではなく入院先で死を迎えるようになると、エンゼルメイクは死後処置の一環として、病院で行われるようになった。

 小林さんは「人の死」が日常から切り離されたことに問題があると指摘する。身近な人、親しい人の死を受け入れることは簡単なことではない。自宅で療養していれば、徐々に死に近づいていく姿を目にし、やがて来る人生の終末を自然なこととして感じ取ることもできるだろう。

 「ところが、入院先での死にはそのプロセスがない。『人は必ず死ぬ』という当たり前のことを感じ取る間もなく、大切な人がある日突然、遺体になってしまう。このことが家族に死を受け入れがたいものにしている」と小林さんは話す。

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