インタビュー

緩和ケア、城谷典保医師に聞く(下)=痛み抱える人を地域で守る

―ホスピス病棟だけでなく地域でも緩和ケア医療を受けられる対象を、がん患者以外にも広げる取り組みは既に始まっているのでしょうか。
 城谷 急性期病院から医療依存度の高い患者の在宅医への紹介が増えています。在宅医療の現場においては、がんやがん以外の看(み)取りを伴う在宅医療や在宅緩和ケアを行っている医療者が増えつつあり、緩和ケアの実践の知識や技能が集積されてきています。関係する学会や研究会、現場での実践活動を伴う教育や研究への取り組みも始まっています。より多くの患者の受け入れが可能となるような体制づくりと、緩和ケアも含む在宅医療の質を向上させることが緊急の課題です。
 2015年6月に厚生労働省がまとめた報告書によると、拠点病院での緩和ケアの提供体制は進んでいるのですが、地域の拠点病院以外の病院や診療所では連携体制ができておらず、専門家の支援が受けづらいようです。拠点病院に緩和ケアセンターを整備し、各地域の医師会との連携を図ったり、在宅医療と介護との連携体制の構築を推進したりすることが提言されています。
 今後は地域を対象とした緩和ケアの提供体制の構築とがん以外の疾患を含めた緩和ケア、すなわち「地域緩和ケア」の普及をどのように進めるかが重要です。

◇自宅で看取られたい

―地域や在宅で緩和ケアを受ける意味は何でしょうか。
 城谷 人は必ず死を迎えます。死を予感する病気にかかったり、加齢により人生の残り時間が長くないと感じたりしたときに、自分の住み慣れた地域で自由を束縛されず、病気や障害の痛みや精神的な苦痛を感じることなく、残された時間を安らかに過ごしたい。最後まで必要な生活支援や医療が提供されるのであれば、病院に入院しないで自宅で最期を迎えたいと考えている人は多いのではないでしょうか。これを実現できるのが「地域緩和ケアシステム」です。居宅で医療、介護、看取りまでを完結する仕組みです。現在の日本ではその概念も制度も出来上がっていませんが、全国各地で長年実践している医療者がいますので、これを現在稼働している「地域包括ケア」に組み込むことで、実現の可能性は十分あります。自己の経験を生かして、この仕組みを普及させるべくプロジェクトをスタートさせたところです。

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