インタビュー

日焼け止めを正しく使う
皮膚炎起こす危険も知って

 真夏に向かって、紫外線(UV)の地表への照射量が増大する季節となった。水着になる海水浴やプールだけでなく、日常生活でも脚や腕などを中心に体を露出させる服を着る機会も増えてくる。UVによる皮膚へのダメージから生じるしみや過剰な日焼けを嫌って日焼け止めのクリームやパウダーなどを使う人も多い。

 しかし、正しい使い方と必要な皮膚へのケアを怠ると、日焼けを防げないだけでなく、炎症や過度の乾燥を引き起こす。さらにその後の対応を誤ると、接触性皮膚炎=用語説明=など医師の治療を必要とする状態に陥る危険性もある。日焼け止め用製品の効果の限界を知り、必要なスキンケアなどを欠かさず、上手に使いこなしたい。

 ◇長時間の効果期待できず

 市販の日焼け止めクリームなどには、紫外線を吸収して熱などに変化させて放散する紫外線吸収剤と、紫外線を乱反射することで皮膚への影響を防ぐ紫外線散乱剤が使われている。紫外線のうち、短時間で強いエネルギーを伝えるB波への防御効果は「SPF」で、逆にある程度長時間かけてエネルギーを皮膚組織に伝えるA波への防御効果は「PA」で表示される。前者は1から50+までの数字で、後者は「+」から「++++」までの4段階で表示されている。

 ただし、SPFやPAが高い製品でも、効果は丸1日持続しない。どの程度強い紫外線にさらされるかによっても差が出てくるが、おおむね数時間で効果は大きく低減する。このため、小まめに塗ることが必要になる。しかし、吸収剤は紫外線を吸収する際に皮膚の上で化学変化を起こし、皮膚表面の皮脂や汗にも反応して別の化学物質になって皮膚を刺激してしまうこともある。

 子どもや肌が敏感な人向けに「ノンケミカル」などと表示され、散乱剤だけを配合している製品もある。その中の一つで、子どもも使用できる日焼け止めクリームを製造・販売しているユースキン製薬(川崎市)企画部の担当者は、「肌への負担を少なくすることを考え、吸収剤は使用していない。しかし、散乱剤だけではSPFやPAを高い値にすることは難しい。ただ日常生活ではSPFやPAの値が特に高い製品を使う必要は無い。使用する状況に応じて商品を選んで、使い分けることを勧めたい」と話す。

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