インタビュー

日焼け止めを正しく使う
皮膚炎起こす危険も知って

 ◇おしろいも有効

 こうした点について、東京・銀座の「よしき皮膚科クリニック銀座」の吉木伸子院長は「吸収剤は透明で、塗っても目立ちにくい。皮膚の上に延ばしやすいが、効果が持続する時間が比較的短い。街中でも半日程度、より強く紫外線を浴びる海水浴場や昼間の屋外プールでは1時間ごとに塗り直す必要がある」と指摘する。吸収剤も散乱剤もどちらも塗る厚さは決められていて、皮膚1平方センチ当たり2ミリグラムが必要とされている、という。

 一方、散乱剤はかぶれは起こしにくいが、皮膚の表面が乾燥したり、つっぱり感が生じてしまったりする。「多少汗で落ちやすいなどという問題もあるが、皮膚への刺激の低さや価格を考えれば、昔ながらの粉おしろいも、日焼け止めとして十分役に立つ」と、吉木院長は教えてくれた。

 暑さで汗をかきやすい上に、プールや海では当然ながら、水にぬれることは避けられない。そこで、水に溶けにくくすることで流れ落ちにくくした「ウオータープルーフ」と呼ばれる日焼け止めを選ぶ人も多いという。しかし、汗や皮脂に混じると溶け落ちてしまったり、逆に水に溶けにくくなっているため、皮膚表面に必要以上にとどまってしまい、肌荒れなど皮膚のトラブルを引き起こしたりするリスクもある。

 ◇必ず洗い落とす

 吉木院長は「屋内に戻った際や就寝前には必ず洗い落とすようにしたい。ただ、ウオータープルーフを重視した商品だと、皮膚を刺激するクレンジング剤などを使う必要があり、通常の日焼け止め商品以上に注意が必要だ」と呼び掛けている。その際に心掛けたいのが、保湿などのスキンケアだ。湿度が高く、べたつくように感じる季節でも、皮膚の表面は乾燥し、外部からの刺激に反応しやすくなっている。できれば、日焼け止めを塗った部分には、毎日の入浴後に保湿用のローションやクリームを塗ることは欠かさないでおこう。

 このようなケアを怠り、肌を乾燥させた上に、強い日焼けも加わってしまうことから皮膚炎などを起こして医療機関を受診するケースも少なくないという。吉木院長は「日焼け止めを塗らないといけないという、義務感のような思い込みから、日焼け止めでかぶれていても塗り続け、かえってシミを増やしている人も多い」と警告している。

 ◇過度に神経質にならないで

 かぶれたと思った場合は、まずはスキンケアを最低限にして保湿に心がけるようにすること。数日間様子を見て、どうしても改善せず、しみたり、かゆみが出たりする場合は皮膚科を受診すること。その上で「最近では、過度にしみを恐れる風潮が強く、日焼け止めを過信して、肌荒れなどのトラブルを逆に招いているケースが多い。健康な肌を保つためには、まずは肌に負担となるような化粧品を避けることが一番大切」と話す。(了)

 用語説明「接触性皮膚炎」 化学物質などが皮膚に接触することが刺激となり、発疹やかぶれ(炎症)を起こしている状態。刺激が強くなく、日常は接触しても異常を引き起こさない物質でも、皮膚表面の乾燥などによってバリア機能が低下している状態では、炎症を起こすことがある。


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