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震災後の「親子でボタンつけ」授業に怒り
自分たちの体験を次に生かす大切さ 戸羽太・陸前高田市長

がれきの中を歩く子どもたち=2011年4月2日、陸前高田市(時事)

 ◇がくぜんとした参観日

 戸羽 でも、一方で問題も感じました。保護者参観日があったんです。私は忙しくて、とても時間がないのですが、妻がいないので、私が行かなければ誰も行けない。それで、10分でもいいからと思い、出掛けました。そこで、がくぜんとしました。「親子でボタンつけ」という授業なんです。

 海原 それはひどいですね。親を亡くした子どもがたくさんいるのに。


 戸羽 私が行けたから、まだいいけど。親がいなくて、かわいそうな子どももたくさんいるし。びっくりして、怒りが湧きました。学校の組織としての整備はできているけれど、子どもに対して配慮がある教師、ない教師はそれぞれで、こういうことが起きるのだと思いましたね。

 海原 やはり、こうした災害の後、学校の授業で行う内容も一度、マニュアル化して、整備しておかないといけないですね。プログラムを医師や臨床心理士が一緒に作る必要があります。

 ◇つらい気持ちに立ち入り禁止

 戸羽 子どもたちは、しなやかだから、最初の出だしのところをうまく、きちんとすれば、落ち込まずに伸びていけると思うんです。でも、最初に失敗すると、後が大変になる。だから、最初のプログラムは慎重に、大事にしていきたい。最初につまずいて、そのままになったらというのが本当に心配です。

 海原 本当にそう思います。子どもには災害後、なるべく身体を動かす機会を多くしてほしいです。子どもはボキャブラリーが少ないので、つらい気持ちや悲しい気持ちを言葉で表現しにくい。そんな時、身体を動かしたり、遊んだり、歌ったりというように、身体を多く使うことで、気持ちを表現できますから。

視察する東日本大震災復興構想会議の五百旗頭真議長(左)を案内する戸羽太陸前高田市長=2011年5月7日 (時事)


 
戸羽 私たちが当時、気を使ったのは、親を亡くしてつらい気持ちの子どもたちが、少しでもそのつらさや、悲しさから離れられる時間をつくろうということでした。

 海原 つらい気持ちへの立ち入り禁止時間をつくっておくことは大事ですね。

 ◇復興の妨げになる法律の見直しを

 戸羽 そのためには、専門家の人たちがこうしたプログラム作りにもっと入りやすいようにしないとまずいと思います。災害後に学校を始める時、どういう形で、どういう授業を、どのように始めるのかという内容のフォーマット作りをしないとだめですね。

 政治家が「心のケアは大事」と言っても、具体的に政治家がどうすればいいかが分かるわけじゃない。しかし、私どもは経験してしまったんです。その上で、「ああ、こうすればよかった」「これが必要だ」ということがたくさんあるんです。

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