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セリアック病は、小麦や大麦、ライ麦などに含まれるグルテンというタンパク質が原因で発症する遺伝性の自己免疫疾患の一つだ。欧米では50年以上も前から知られている病気で、米国では人口の約1%の割合で患者が存在するといわれている。東京女子医科大学病院(東京都新宿区)消化器病センター消化器内科の大森鉄平助教は「セリアック病は、似た症状を示す他の病気もあるので、早期に診断を受け、グルテンを含む食品を避けることが必要です」と話す。
グルテンを含む食品で消化器症状が出現
▽白血球に特定の型
腹痛や下痢などの消化器症状を引き起こすセリアック病は、欧米ではメジャーな病気だが、アジア諸国では極端に患者が少ないという。
体内に侵入した異物を認識して排除を促す白血球には、「HLA(ヒト白血球抗原)」で示される型があり、両親から遺伝的に受け継いでいる。大森助教は「セリアック病はHLAの型が、DQ2とDQ8というタイプを持つ人に多く発症します。欧米人はこのタイプを持つ人が多いのですが、日本を含むアジア諸国ではほとんどいないため、発症はまれだといわれています」と話す。
グルテンは主に小腸で消化吸収されるが、HLA―DQ2とDQ8の型を持つ人は、グルテンが消化されてできたタンパク質に対し過剰な免疫反応が起こり、粘膜に炎症を来して腹痛や下痢が生じるのだという。なぜ免疫反応が過剰になるのかは詳しく分かっていない。
▽早期に診断を
セリアック病は、症状、血液検査での特異的な抗体の有無、内視鏡での組織検査などで診断するが、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸炎がないことが前提となる。他の自己免疫疾患と違い、原因となるグルテンが体内に入らなければ症状が起こらないので、小麦や大麦、ライ麦などを原料とする食品を避けること(グルテン除去食)で症状が改善するという。ただし、厳格なグルテン除去食は食物繊維やビタミンB群の不足、炭水化物の取り過ぎで肥満になりやすいので注意したい。
大森助教は「セリアック病で小腸内の炎症が続くと、栄養を取り込む絨毛(じゅうもう)と呼ばれる部分が萎縮し、腹部膨満感や体重減少、栄養不良が起こります。原因不明の慢性的な下痢が続く場合、詳しい検査をしてください」と勧めている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/03/17 06:00)
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