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ブルガダ症候群は、1992年に初めて報告された遺伝性不整脈疾患の一つで、元気だった人が突然死することもある。東南アジアや日本に患者が多い。東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)循環器センターの池田隆徳教授は「ブルガダ症候群は100%解明されている病気ではありませんが、ガイドラインがあり治療法も確立しています」と話す。
健康診断で見つかることも
▽遺伝子異常が関与
ブルガダ症候群は、心臓の機能に異常がなく普通に生活していた人に突然、心室細動という致死性の不整脈が起こる病気で、無症状の場合と、失神(意識消失発作)を伴う場合とがある。池田教授は「心室細動は、副交感神経が優位になる夜間や早朝に起こりやすく、意識消失発作が起きた場合、多くは数十秒で意識は回復します。ただし、心室細動が長引くと死に至るケースもあります」と説明する。主に働き盛りの30~40歳代に発症し、圧倒的に男性に多いのも特徴だ。
心臓の筋肉は、ナトリウムやカリウム、カルシウムといった電解質を細胞内に出し入れして電気的な流れを作り、収縮と弛緩(しかん)を繰り返している。ブルガダ症候群は、このうちナトリウムが出入りする部分を構成する、SCN5Aという遺伝子の異常が原因とされ、電気的な異常から不整脈を起こすという。他にも解明されていない遺伝子の関与が考えられている。
▽リスクに応じて治療
ブルガダ症候群には、特徴的な心電図の波形(ブルガダ型心電図)があり、健康診断で見つかることが少なくない。この波形を持つ人は成人の1000人に1人と意外に多いが、全ての人が心室細動を起こすわけではないため、リスクの高い人を見分ける必要がある。
意識消失発作があるか、肉親や近親者に若くして突然死した人はいるかといった問診を経て、薬を使った負荷試験や詳しい心電図の検査を行う。同病院では、簡便にリスク評価ができ、患者への負担が少ない「満腹テスト」を行っている。「空腹時に心電図を測定し、20分間で食事と炭酸水を取ってもらい副交感神経を優位にします。食後30分経過したら、再度心電図を測定します」と池田教授。
リスクが高いと診断された場合は、体内に不整脈を取り除く除細動器を植え込む。検査結果が陰性であれば、治療の必要はなく経過観察となる。
池田教授は「ブルガダ症候群と診断されると不安になりますが、検査でリスクをしっかりと評価するので、必要以上に怖がることはありません」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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