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気胸とは、肺に穴が開き、そこから空気が漏れて胸痛や呼吸困難を生じる病気だ。このうち、子宮内膜症に関連して起こる気胸を月経随伴性気胸(胸部子宮内膜症関連気胸)と呼ぶ。東京女子医科大学病院(東京都新宿区)産婦人科の熊切順教授は「気胸を婦人科系の病気と結び付けるのは難しく、原因不明の自然気胸として治療を受けているケースがあるかもしれません」と危惧する。
ライフプランにより治療法を選択。主治医とよく相談を
▽ホルモン変動で発生
子宮の内側を覆っている子宮内膜は、妊娠が成立しないと定期的に剥がれて月経が起こる。子宮内膜の組織が、本来あるべき子宮内以外の場所に発生するのが子宮内膜症だ。月経随伴性気胸では、この組織が横隔膜や肺にでき、ホルモン変動の影響を受けて周期的に剥がれ落ちることで横隔膜や肺に穴を開け、空気が漏れてしまう。
女性に特有で、月経時に限らず、排卵期や黄体期といったホルモンの変動時にも発生し、一度起こると定期的に繰り返すのが特徴だ。胸痛や呼吸困難などの症状から診断されることが多く、子宮内膜症との関連に気付かれないケースも少なくないという。
子宮内膜組織が横隔膜や肺に至るメカニズムには諸説ある。子宮内膜組織が、腹水の流れに沿って右横隔膜から肺にたどり着き気胸を起こすという説が一つで、月経随伴性気胸が右側に多い説明にもなる。子宮内膜組織が血流に乗って肺に定着し、気胸を起こすという説もある。熊切教授は「これらの説では説明できないケースもあり、詳しい発症の仕組みは分かっていません」と話す。
▽まず薬で保存治療
気胸は、手術で病変を取り除く治療法がある。ただし、患者の体に負担がかかり、背景に子宮内膜症がある限り再発も考えられる。婦人科の観点から熊切教授は重症でない限り、まずは薬を使った保存的治療を勧めることが多いという。「低用量のピルで子宮内膜症を治療すると、気胸が改善することがあります。改善しない場合は、一度手術を行い、再発を防ぐために薬の服用を続けるよう勧めています」
年齢のほか、手術後もたびたび気胸を繰り返すか、妊娠を希望するかなどによっても治療法は大きく変わる。熊切教授は「月経随伴性気胸は生活の質を低下させ得るので、うまく付き合っていく必要があります。今後、どのような生活を送りたいかをよく考え、主治医と相談しながら治療法を決めることが重要です」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/03/23 07:00)
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