治療・予防 2024/11/22 05:00
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後頭部やうなじに経験したことがないような痛みが走る椎骨動脈解離は、40~50代に多く、普段の何気ない首の動きが積み重なって起きる。昭和大学病院(東京都品川区)脳神経外科の水谷徹主任教授は「血管も老化に伴い、大なり小なり傷が付いては修復されています。解剖による観察結果から、わずかなものも含めれば、一般成人の約10%に椎骨動脈解離があると推測されます」と話す。
◇うなじがズキズキ
正常な動脈の壁は内側から内弾性板、中膜、外膜の3層構造になっている。動脈解離は何らかのきっかけで内弾性板が裂け、そこから血液が入り込んで起きる。全身の動脈に起こり得るが、最も多いのは心臓から全身に血液を運ぶ大動脈だ。それに次ぐのが脳動脈で、首の後ろ側を走る椎骨動脈がその7割ほどを占めるという。
日常的な首の運動の積み重ねや軽いけがで、内弾性板が弱って椎骨動脈解離が起きると考えられる。ゴルフのスイング時やカイロプラクティックの施術時、車をバックさせるときの首の急なひねりでも椎骨動脈解離は起きることがある。首を鳴らす癖がある人も要注意だ。
内弾性板に亀裂が入って解離が生じたときに、頭痛が起きることが多い。水谷主任教授は「うなじから後頭部にかけてズキズキと拍を打つような痛み、重くだるい痛みがありますが、片頭痛や緊張性頭痛と区別することは難しいです」と説明する。
◇生命の危険も
解離した血管自体が詰まったり、解離した所から枝分かれしている血管が詰まったり、血栓という血の塊が血管の中を移動して別の場所を閉塞(へいそく)させたりして脳梗塞を起こすことがある。血液がたまってできたこぶが破れると、くも膜下出血を起こして命に関わることもある。
こぶがまだ破裂していない状態であれば、血圧の管理などをしながら経過を観察する保存的治療が主体となるが、くも膜下出血が起きている場合は即刻手術が必要になる。こぶごと血管を閉塞させるのが基本だが、今は血管内治療が進歩し、メッシュ状のステントという筒を血管内に入れて動脈を守る治療法もある。
痛みが起きた時点で磁気共鳴画像装置(MRI)などの検査を受ければ診断が付くことが多いが、症状が軽いと受診しない人も少なくないという。水谷主任教授は「頭痛持ちではないのに、後頭部やうなじ周辺に経験したことがない強い痛みが生じ、仕事や家事を休まなければならないほどであれば受診を」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2016/12/20 14:05)
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