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体に虫刺されのような発疹や水ぶくれが表れる水疱(すいほう)性類天疱瘡(るいてんぽうそう)は、高齢者に多い病気だ。「時に命の危険を伴うため注意が必要です」と大阪市立大学医学部付属病院(大阪市)皮膚科の鶴田大輔教授は話す。
手足を中心に水ぶくれが出現し、全身へ広がることも
▽赤い斑点と水疱が出現
人の体には、外から侵入した細菌やウイルスに対して抗体をつくり身を守る免疫機能があるが、それが自分の正常な細胞や組織を攻撃してしまうことがある。水疱性類天疱瘡は、皮膚の表皮と真皮の間にある基底膜に存在する特定のタンパク質に対して抗体をつくってしまう自己免疫疾患の一つだ。
症状として、かゆみを伴う赤い斑点と破れにくい水疱が表れる。水疱は、初期には手足などを中心に、重症化すると全身に広がり、破れると細菌感染による敗血症を起こして死亡するリスクもある。まれに口の中などの粘膜部分にもできる。治療は長期にわたることが多く、難治性のものもあるため、難病指定を受けている。「70歳以上の高齢者に多く、高齢化に伴い患者数は増えています」と鶴田教授。
水疱性類天疱瘡が疑われる場合は、血液検査のほか、症状が見られる皮膚の一部を切り取って、顕微鏡による組織検査や蛍光抗体直接法という検査を行う。紅斑や水疱の大きさや数、範囲などから重症度を判断する。
▽ステロイドが有効
水疱性類天疱瘡の治療には、自己免疫の反応を抑えるためにステロイドが用いられる。軽症であればステロイドの塗り薬で症状が改善するケースもある。中等症以上では入院して多量のステロイドを内服する。副作用として感染症にかかりやすくなるので、1カ月前後の入院が必要になる。症状が治まれば、ステロイドの量を徐々に減らしていく。効果が得られない場合は、血漿(けっしょう)交換やステロイドを点滴するステロイドパルス療法などを併用することもある。
中等症以上でも入院治療の後、数カ月の通院治療で症状は治まるが、再発しやすいので、長期的に欠かさず薬を飲む必要がある。
「虫刺されのような水疱が急に増える、2週間以上たっても消えないなどの症状が表れた場合は、ためらわず皮膚科を受診してください」と鶴田教授は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/05/10 06:00)
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