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好酸球は白血球の一種であり、体を守る免疫機能を担っている。ところが、増え過ぎるとさまざまな部位に炎症を起こし、難治性の病態をつくってしまう。好酸球性中耳炎もその一つだ。東京北医療センター(東京都北区)耳鼻咽喉科の飯野ゆき子科長は「好酸球性中耳炎は、重症化すると聴力が低下してしまうので、早期にしっかり治療をする必要があります」と話す。
悪化すると、ある日突然聞こえなくなることも
▽ぜんそくとの合併も
好酸球性中耳炎は、成人の難治性中耳炎として知られ、50歳代からの発症が多いという。自覚症状は、耳が詰まった感じや耳だれ、難聴と、一般的な中耳炎と似ているが、治療をしてもなかなか治らず、次第に中耳内にたまった分泌物が粘り気のある膠(にかわ)状になってくる。飯野科長は「鼻ポリープを伴う好酸球性の副鼻腔(びくう)炎や気管支ぜんそくを合併することが多いのも、この病気の特徴です」と説明する。
好酸球性中耳炎には、大きく分けて、滲出(しんしゅつ)性中耳炎型と慢性穿孔(せんこう)性中耳炎型の2タイプがある。滲出性中耳炎型は、中耳の粘膜に腫れは少ないが、鼓膜内に膠状の分泌物がたまる。慢性穿孔性中耳炎型には、中耳粘膜の腫れが強く鼓膜に穴が開き、そこから膠状の耳だれが出るタイプと、肉芽(にくげ)という赤く柔らかい組織があふれ出てくる最も治りにくいタイプがある。
中耳粘膜や中耳内の分泌物からは多くの好酸球が認められ、8割以上が両耳に発症するという。「内耳にまで炎症が及ぶと聞こえが悪くなり、突発性難聴のように、ある日突然聞こえなくなることもあります」と飯野科長は指摘する。
▽鼻のかみ方に注意
好酸球性中耳炎の治療は、炎症を抑えるステロイドの中耳内への投与が基本となる。悪化した場合には、ステロイドの内服を行う。「一度発症すると再発を繰り返すので、薬でコントロールをしながら付き合っていく必要があります」と飯野科長。現在は気管支ぜんそくの治療で使われている分子標的薬が、好酸球性中耳炎にも効果があるとして研究が進められている。
好酸球性中耳炎を誘発させないために、副鼻腔炎や気管支ぜんそくのある人は鼻を強くかまないことだ。鼻を強くかむと、耳と鼻をつないでいる耳管を通して中耳に圧力がかかり、好酸球性中耳炎を発症するケースが少なくない。同じ理由から、副鼻腔炎の手術後に行う鼻洗浄も、強くやってはいけない。
飯野科長は「副鼻腔炎や気管支ぜんそくがある人で耳に違和感を生じたら、早急に耳鼻科を受診してほしい」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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