滲出性中耳炎〔しんしゅつせいちゅうじえん〕

 発症のピークは3歳ころで、耳痛を伴うことはありません。子どもに多くみられる中耳炎ですが、高齢でまたふえてきます。鼓膜は中耳内の滲出液のために動きがわるく、暗く濁ってみえます。この中耳炎では難聴を伴い、自分の声が大きく聞こえます(自声強聴)。また再発しやすいのも特徴であり、難聴の期間が長くなると、小児の場合は学習や生活に影響することがあります。
 鼻と中耳をつなぐ耳管は、ふだんは閉じており、つば飲み(嚥下〈えんげ〉)などで開放されて、中耳腔の圧が大気圧と同じになるように調整されますが、アデノイド(咽頭扁桃〈いんとうへんとう〉の肥大)で入り口がふさがれたり、上咽頭(鼻の奥)に炎症があると耳管に炎症が起こって狭窄(きょうさく:せまくなること)し、嚥下時にうまく開かなくなります。その結果、滲出液が中耳の血管からしみ出し中耳腔にたまります。両耳がつまった感じがして軽い難聴を伴いますが、耳だれや痛みはありません。テレビのボリュームを大きくしたり、聞き返しが多くなることで周囲の人が気づきます。急性中耳炎にひき続いて起こることがあり、また副鼻腔炎も原因になります。頸部リンパ節がはれてくる場合は上咽頭に腫瘍がある可能性が高く、要注意です。

[治療]
 耳管の機能障害を改善するために、抗炎症薬や抗ヒスタミン薬、マクロライド系抗菌薬などが使用されます。
 軽度の場合は耳管に空気を通す通気をおこないます。症状が続く場合や粘稠(ねんちゅう:ねばりけがあって濃い状態)な貯留液を取り除くときには、鼓膜を切開して吸引除去します。多くの場合、このときに直径2mm程度のシリコーン製の鼓膜チューブを鼓膜に挿入します。この治療によって、中耳に外耳道から空気が入るようになり、滲出液がたまりにくくなります。アデノイドが大きい場合は、全身麻酔下に手術で切除することもあります。副鼻腔炎などの治療も必要です。このような治療により聴力は正常に戻ります。チューブが鼓膜に入っていても、ふつうに生活できますが、水泳をするときは、耳栓をして外耳に水が入らないようにします。
 挿入したチューブは数週間から数カ月で自然にとれることが多いのですが、長期留置が必要な場合はとれにくいチューブを挿入します。治癒後にチューブが残る場合は、外来で摘出します。チューブの穴が鼓膜に残ることは比較的まれですが、残る場合は外来で閉鎖処置をおこない、それでも残るようれあれば全身麻酔下に手術をして閉鎖します。
医師を探す