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人間が生きていく上で欠かすことができない睡眠。よく眠れない状態(不眠)が長く続くと、あらゆる病気のリスクが増す。その一つが2型糖尿病だ。糖尿病にならないためにも、良質な睡眠がとれる環境を整えたり、睡眠の専門医に相談したりすることをお勧めしたい。
不眠により糖尿病のリスクが高くなる仕組み
▽睡眠は短くても長くても問題
日本睡眠学会理事長で日本大学医学部精神医学系(東京都板橋区)の内山真主任教授によると、国内では成人の約20%が不眠を抱えているという。このうち眠れないせいで生活や仕事に影響のある不眠症の人は約10%、睡眠薬による治療を受けている人は約5%。加齢とともに増え、高齢者では不眠が約30%を占める。
不眠は高血圧、心臓病、うつ病などの発症リスクになることが明らかになっている。糖尿病との関連を調べた研究も多く、内山主任教授は「不眠のある人が数年後に糖尿病になるリスクは、不眠症のない人の2~3倍になります」と指摘する。さらに「ある研究で、糖尿病の発症リスクは、睡眠時間が5時間以下の人は7~8時間の人に比べて約2.6倍になり、8時間を超えると3.6倍に上昇すると報告されています。睡眠時間は短くても長くても健康に悪いことが分かりました」と説明する。
▽血糖コントロールが悪化
不眠になると、なぜ糖尿病を発症しやすくなるのか。「実験では、不眠や睡眠不足があると、血糖値をコントロールするインスリンに対する反応が悪くなるため血糖値が上昇し、糖尿病のリスクになると考えられています」と内山主任教授。また「睡眠不足になると、日中の体の不調から運動量が低下する上、食欲を高めるホルモンなどの分泌が高まって余計に食べ過ぎることになり、肥満のリスクを高めます」と話す。
質の高い睡眠をとるには、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」が参考になる。同省のウェブサイトで閲覧できる。内山主任教授は「良い睡眠をとることは、あすのパフォーマンス、将来の心身の健康のための重要な手段です。ただし睡眠そのものが目的ではありません」と強調する。不眠症の認知行動療法や薬物療法は着実に進歩している。不眠に悩んでいる人は、迷わず専門医の診察を受けてほしい。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/05/19 16:00)
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