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各地を襲った猛暑の影響で、「夏バテ」に苦しんだ人も少なくないだろう。これからも油断はできない。残暑に加え、秋になっても、そのダメージは残るからだ。「夏バテの改善には、腸の環境を整えるのが大事」と訴えるセミナーが8月下旬、東京都内で開かれ、医師や料理研究家のコウケンテツさんらが栄養や料理、腸内を整える運動などを紹介した。
「おなかマッサージ」を説明
◇自律神経の乱れが原因
医薬品メーカーの調査によると、夏バテを経験したことがある人は、親で約80%、子どもは約45%に達するという。主な症状は、食欲不振や倦怠(けんたい)感、頭痛、消化不良などだ。
東京都医師会理事で、都内で内科クリニックを開業している鳥居明医師は「室内と屋外の気温差による自律神経の乱れが、胃腸の不調や食欲不振につながる」と切り出し、「熱帯夜などで十分な睡眠が取れないために疲労が蓄積したり、倦怠(けんたい)感などが起きやすくなったりする。さらに、高温、多湿による発汗の異常によって体温調整がしにくくなることなども夏バテの原因だ」と説明した。
対策としては、(1)バランスの取れた食事で腸内環境を整える(2)早めに休み、十分な睡眠時間を確保する(3)こまめに水分を補給し、エアコンの温度を下げ過ぎない―ことなどが挙げられる。鳥居医師は「ストレスが脳に影響を与え、腸に異常を来す。腸の環境を整えることは、自律神経の乱れの改善や予防につながる」と話した。
夏バテの原因を説明する鳥居明医師
◇腸内細菌に注目
注目したいのは腸内細菌だ。腸には1000種、100兆個i以上の細菌が生息していると言われる。赤ちゃんが母親の胎内にいる時は無菌状態にあるが、産道で母親が持つ細菌に接触、生まれた後は周囲の環境から次々に細菌が取り込まれる。腸内細菌を味方に付けることは、健康維持の面で重要だ。
「腸内細菌には『善玉菌』『見和見菌』『悪玉菌』の三つがある」と鳥居医師は話した。善玉菌はビタミンやたんぱく質の合成に関わり、体の免疫機能を高める。一方、悪玉菌はたんぱく質や脂肪を取り込んでエネルギー源とし、その副産物としてさまざまな有害物質や発がん物質を生成する。見和見菌は、善玉菌と悪玉菌のどちらか優勢な方に同調するために、こう呼ばれる。
◇「善玉菌」を増やせ
「悪玉菌が優勢になると、下痢や便秘、肌荒れ、ニキビなどに加え、老化を促進する原因にもなる。加齢とともに善玉菌が減り、悪玉菌が増加する」
さらに、鳥居医師は「体の免疫細胞の約7割は腸に集まっている。腸内細菌に異常が生じると、アレルギーや自己免疫疾患を引き起こす可能性がある」と付け加えた。
腸内の善玉細菌を活性化するためにはどうしたらよいのか。難しく考える必要はない。例えば、ヨーグルトや漬物といった発酵食品や、食物繊維が豊富な食べ物、乳酸菌飲料などがあるという。鳥居医師は「整腸薬やサプリメントも効用がある。運動やヨガなどもよいだろう」と語った。
◇腸内整備のマッサージ
これを受けて、簡単にできる「おなかマッサージ」のやり方が紹介された。
まずは、ゆっくりと息を吸って吐く深呼吸。手のひらでおへそからスタートし、大きく「の」の字を書くようにゆっくりとなでる。次に、腸をもむ。右手を腰骨にあてて、親指以外の4本の指で軽く押す。肋骨(ろっこつ)の下あたりを押す。次は左手で肋骨の下、腰骨という動作を繰り返し、最後におへその下を両手で押す。このマッサージにはあまり時間がかからないことも利点だろう。
(2019/08/29 07:00)
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