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真珠腫性中耳炎は慢性中耳炎の一種だ。鼓膜にできたへこみに耳あかがたまって真珠のような白い塊になり、炎症が起きて進行すると、音を伝える骨が溶けて難聴になったり、顔面神経まひやめまいが起こったりする。脳に炎症が及ぶと、命に関わることもあるという。神尾記念病院(東京都千代田区)の石井賢治副院長は「子どもの頃の中耳炎や鼻の病気をしっかりと治療をしておくことが、真珠腫性中耳炎の予防につながります」と話す。
子どもの頃の中耳炎や鼻の病気はしっかり治療して
▽放置で命の危険も
真珠腫性中耳炎は先天性と後天性があるが、大半が後天性だ。石井副院長によると「初期は耳が詰まったような感じがして耳だれが出る程度ですが、進行すると鼓膜が大きくへこみ、鼓膜の振動を内耳に伝える耳小骨が溶かされると難聴が起こります」と説明する。悪化すると中耳の中を通る顔面神経を冒し、顔の筋肉が動かせない、味が分からないなどの症状が出現する。さらに、蝸牛(かぎゅう)や三半規管に炎症が及ぶと、難聴やめまいが続くなどの症状が表れる。「脳に進み髄膜炎を起こすと、命の危険もあります」
中耳と喉の奥の上咽頭とは、耳管という管でつながっている。耳管は中耳と大気の圧力が等しくなるよう調節する器官だが、この機能が悪いと鼓膜にへこみができ、耳あかがたまりやすくなるという。ただし真珠腫がどのような過程を経てできるのかは、はっきりと分かっていない。
▽摘出術後は経過を観察
真珠腫性中耳炎は進行度が一人ひとり違うため、中には定期的な耳の掃除だけで経過観察するケースもあるが、多くは真珠腫の摘出手術を行う。耳小骨が溶けている場合は、患者の軟骨などを使った自家組織や人工材料で形成するが、聴力の回復には個人差があるという。
石井副院長が重要視するのは、手術後のフォローとケアだ。真珠腫は、完全に取り切れていないと再発し、取り切れていても同じ場所に再発することがあるからだ。同院では、手術後5年以上は経過をフォローしている。
石井副院長は「子どものころに中耳炎を繰り返していると、耳の後ろにある乳突蜂巣(にゅうとつほうそう)という空洞が発育せず、中耳換気能が悪くなります。アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔(びくう)炎で、しょっちゅう鼻をすするのもよくありません。注意が必要です」と話している。(メディカルトリビューン=時事)
(2019/10/01 16:36)
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