顔面神経まひ〔がんめんしんけいまひ〕
顔面神経は延髄(えんずい)から出て頭蓋骨(とうがいこつ)内に入り、内耳・中耳の付近を通過して、耳垂(じすい:耳たぶ)のすぐ後方で骨から出ます。その後、耳下(じか)腺に入り5~6本に枝分かれして、顔面の表情筋に分布します(顔面神経の損傷)。
顔面神経は表情筋を動かして、眼や口を閉じる、まゆ毛を上げる、笑うなど、顔の表情をつくるはたらきをもっています。また、聴力の調節や味覚にも関係しています。
【原因】
顔面神経まひの多くは突然発症するタイプであり、ベルまひと呼ばれています。ウイルス感染などが関係しているといわれていますが、はっきりした原因はわかっていません。
その他には、顔面外傷、頭蓋骨骨折、脳腫瘍(聴神経腫瘍など)、化膿性中耳炎、耳下腺の手術などによって顔面神経が損傷を受けると、まひが起こります。
【症状】
顔面神経がどの位置で損傷されたかによって、症状は異なります。
表情筋がまひすることによって、まゆ毛が上がらない、口が斜めになるなど、顔が非対称になります。眼が閉じられない、口もとから飲食物がこぼれる、などの機能障害が起こることもあります。眼が閉じられないと、眼球が乾燥し、結膜炎や角膜潰瘍などを起こします。
また、音が大きく聞こえるなど聴覚の異常や味覚障害が起こることもあります。一般的に、ベルまひでは片側だけにまひが起こります。
【治療】
ベルまひのうち70~80%は、治療をおこなわなくても3~9カ月で自然に治ります。副腎皮質ステロイド薬の投与をおこなうこともあります。
外傷や手術による損傷の場合は、できるだけ早期に切断された神経を縫合します。縫合された神経はすこしずつ再生しますので、表情筋の機能が回復するまでには1年くらいかかります。
顔面神経の縫合ができなかった場合や、発症から1年以上たっても症状が改善しない場合は、表情筋が萎縮してきます。この状態で神経の縫合をおこなっても症状の改善は期待できないため、表情筋の機能を再建する手術をおこないます。
笑顔など表情の再建には、筋肉や筋膜の移植術がおこなわれます。まゆ毛の下垂に対しては、筋膜移植などによるつり上げ術をおこないます。眼を閉じる機能の再建には、筋膜移植や眼瞼(がんけん)へのゴールド(金)プレートの移植をおこないます。
顔面神経は表情筋を動かして、眼や口を閉じる、まゆ毛を上げる、笑うなど、顔の表情をつくるはたらきをもっています。また、聴力の調節や味覚にも関係しています。
【原因】
顔面神経まひの多くは突然発症するタイプであり、ベルまひと呼ばれています。ウイルス感染などが関係しているといわれていますが、はっきりした原因はわかっていません。
その他には、顔面外傷、頭蓋骨骨折、脳腫瘍(聴神経腫瘍など)、化膿性中耳炎、耳下腺の手術などによって顔面神経が損傷を受けると、まひが起こります。
【症状】
顔面神経がどの位置で損傷されたかによって、症状は異なります。
表情筋がまひすることによって、まゆ毛が上がらない、口が斜めになるなど、顔が非対称になります。眼が閉じられない、口もとから飲食物がこぼれる、などの機能障害が起こることもあります。眼が閉じられないと、眼球が乾燥し、結膜炎や角膜潰瘍などを起こします。
また、音が大きく聞こえるなど聴覚の異常や味覚障害が起こることもあります。一般的に、ベルまひでは片側だけにまひが起こります。
【治療】
ベルまひのうち70~80%は、治療をおこなわなくても3~9カ月で自然に治ります。副腎皮質ステロイド薬の投与をおこなうこともあります。
外傷や手術による損傷の場合は、できるだけ早期に切断された神経を縫合します。縫合された神経はすこしずつ再生しますので、表情筋の機能が回復するまでには1年くらいかかります。
顔面神経の縫合ができなかった場合や、発症から1年以上たっても症状が改善しない場合は、表情筋が萎縮してきます。この状態で神経の縫合をおこなっても症状の改善は期待できないため、表情筋の機能を再建する手術をおこないます。
笑顔など表情の再建には、筋肉や筋膜の移植術がおこなわれます。まゆ毛の下垂に対しては、筋膜移植などによるつり上げ術をおこないます。眼を閉じる機能の再建には、筋膜移植や眼瞼(がんけん)へのゴールド(金)プレートの移植をおこないます。
(執筆・監修:埼玉医科大学 教授〔形成外科・美容外科〕 時岡 一幸)