人工材料 家庭の医学

 自家組織(自分の組織)の代わりに、工業的に生産された人工材料を用います。
 自家組織の移植にくらべると、手術時間が短くなり、移植組織を採取する部分の負担も少なくなります。その反面、感染や人工物の露出・破損などの合併症が起こることもあります。

■シリコン
 合成樹脂です。乳房(にゅうぼう)の再建(豊胸術を含む)、鼻の美容外科手術などに用いられます。また、テッシュエキスパンダーもシリコンでできています(その他の手術)。

■ヒアルロン酸
 関節や皮膚に存在する物質です。顔面のしわ・たるみ(若返り治療)などに用いられます。注入されたヒアルロン酸は6カ月から数年で吸収されます。

■コラーゲン
 皮膚や軟骨などに存在するたんぱく質です。スポンジ型に加工された人工真皮が皮膚欠損部の治療に用いられており、創傷の治癒を促進する効果があります。

■人工骨
 カルシウムとリン酸から成る人工骨が用いられています。

(執筆・監修:埼玉医科大学 教授〔形成外科・美容外科〕 時岡 一幸)
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