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風邪を引いた時に市販の総合感冒薬を服用する人は少なくない。さまざまな症状を緩和してくれる効果を期待してのことだろう。ところが総合感冒薬に含まれている成分が、時として排尿障害を引き起こす。石井クリニック(さいたま市)の石井泰憲院長は「特に前立腺肥大症がある人が市販の総合感冒薬を服用する際は注意してください」と呼び掛ける。
市販薬は手軽だが思わぬ影響も
▽αとβ、二つの作用
総合感冒薬には熱を下げる他、せきを止める、気管支を拡張する、鼻水や鼻詰まりを鎮めるなどのさまざまな成分が入っている。多くの薬に含まれているのがエフェドリンという成分だ。
エフェドリンは交感神経を刺激する物質で、血管を収縮させるα作用と、気管支を拡張させるβ作用の二つを合わせ持つ。石井院長は「風邪の症状に効くのはβ作用で、せきを鎮め、気管支を拡張させて、たんを出やすくします。一方で、同時に働くα作用によって尿道の括約筋が収縮し、尿の出が悪くなることがあります」と説明する。
中高年男性に多い前立腺肥大症があるとなおさらだ。前立腺肥大症の人はα作用を受け取る受容体が増えているため、全く尿が出ない「尿閉」を起こす場合もあるという。「前立腺肥大症がある人は、風邪を引いたら医療機関を受診し、エフェドリンを含まない、症状に応じた薬を処方してもらうと安心です」
▽糖尿病患者も要注意
総合感冒薬の排尿障害に注意を要するのは、前立腺肥大症の人だけではない。糖尿病などでぼうこうを収縮させる副交感神経系に障害があると、同じように排尿障害が起こり得る。また、男性だけとは限らないと石井院長は指摘する。「子宮やぼうこうなどの骨盤臓器が下がっていたり、尿道がもともと狭かったりする女性は薬の作用で、より尿が出にくくなることがあります」
総合感冒薬以外にも、アレルギーの薬や胃腸薬など薬局で購入できる薬には、副交感神経を抑制し排尿障害を起こす成分が含まれていることが多い。石井院長は「前立腺肥大症を含め、排尿障害のリスクが高い人が市販薬を購入する際は、薬剤師がいる薬局で相談するようにしてください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/10/25 07:00)
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