治療・予防 2024/11/22 05:00
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電車のつり革をつかもうとした時や、目線より高い所で作業をした時、重い物を持ってしばらくした時などに、腕にしびれや痛みを感じる人は「胸郭出口症候群」の疑いがある。高島整形外科(大阪府茨木市)の高島孝之院長は「なで肩の女性によく見られ、進行すると小指までしびれが広がります」と話す。
ルーステストという自己チェック検査が有効
▽体勢や時間帯で悪化
胸郭出口とは鎖骨と第一肋骨(ろっこつ)の間にある狭い隙間で、主要な血管や多くの神経が心臓や首から合流して腕へと通じている場所だ。ここで凝って硬くなった筋肉に血管や神経が圧迫される、あるいは猫背やなで肩などにより血管や神経が引っ張られることによって症状が表れる。女性に多いが、筋肉質の男性にも見られる。
胸郭出口症候群の症状は、首、肩、腕、背中にかけてのだるさと痛み、凝りなど。症状が進行すると、腕や手の指にびりびりとしたしびれが表れる。また、頭痛やめまいが生じることもある。肩から腕にかけての位置により症状が悪化したり、消えたりするのが特徴だ。
「重い物を持ったり、同じ姿勢を続けたりすると、腕がだるくなります。夕方になると肩こりがひどくなり、手の小指側にしびれが出るようなら、胸郭出口症候群が疑われます」と高島院長は指摘する。
▽自己チェックが有効
胸郭出口症候群の診断には、丁寧な問診と臨床(脈管、神経刺激)検査のほか、レントゲン、磁気共鳴画像(MRI)、腕神経叢(そう)造影、血管造影などの画像検査を行う。
脈管検査では、症状が出現・悪化する体勢で腕の脈を測る。検査の一つに、ルーステストと呼ばれる自己チェック法がある。肩の位置まで両腕を水平に上げて、肘を90度に曲げ、そのまま手のひらを握って開く動きを3分間繰り返す。手の指がしびれたり、前腕がだるかったりして3分間続けられない場合は、胸郭出口症候群が疑われるという。
治療は、生活指導や姿勢指導のほか、ストレッチ、可動域を広げる訓練、筋力強化訓練などのリハビリテーションと、ビタミン剤による薬物療法を行う。姿勢矯正ベルトを用いた装具療法を行う場合もある。重症例では、まれに神経を圧迫している肋骨の切除手術が必要になる。
胸郭出口症候群は、ほっておくと指の運動障害や握力低下に至る。「自己チェックで怪しいと感じたら一度、整形外科を受診してほしい」と高島院長は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/11/04 08:00)
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