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政府の全世代型社会保障検討会議は昨年末、今後の社会保障改革に関する中間報告を取りまとめた。次の焦点は医療保険制度見直しの具体化。75歳以上の医療費自己負担引き上げなどをめぐり、6月半ばまで議論が交わされる。団塊の世代が75歳以上に入り始める2022年度に向け、社会保障費抑制の取り組みは待ったなし。キーマンである日本医師会の横倉義武会長と健康保険組合連合会の佐野雅宏副会長の2人に今後の議論の見通しを聞いた。
〔横倉義武・日本医師会会長〕
◇3段階が一つの参考に
―昨年の全世代型社会保障検討会議で中間報告が示された
インタビューに答える日本医師会の横倉義武会長=東京都文京区の日本医師会
「人生100年時代」の中で生活の多様化が進んでいく。後期高齢者の自己負担割合、外来受診時の定額負担、市販品類似薬の取り扱い、この3点の課題があった。今後は、後期高齢者のどの範囲から自己負担してもらうかが検討課題だろう。
外来受診時の定額負担は当初、全ての受診者から一律ワンコイン負担してもらうという話だったので、「それは国民の理解は得られませんよ」と政府に強く申し上げた。
病床数400床以上の病院を紹介状なしで受診した場合、初診で5000円以上の自己負担上乗せをする仕組みがあり、それを200床以上に拡大することになった。今後の議論を注視したい。
―後期高齢者の2割負担の対象はどうあるべきか
国民皆保険の理念は、社会全体で支えるということで、負担できる人には負担してもらい、必要な医療を提供しようという考えだ。後期高齢者でも、負担能力のある人には2割負担をお願いしてもよいのではないか。(1~3割の3段階に分かれている)介護保険の自己負担割合の考え方は一つ参考になるだろう。
政府の全世代型社会保障検討会議資料より
◇医療受診は国民の権利
―中間報告に盛り込まれた紹介状なしの大病院受診への負担上乗せは、200床以上の病院すべてに適用するのか
地域の医療機関が果たしている外来診察機能をどう考えていくのかということがベースにないといけない。ちゃんとかかりつけ医機能を発揮しているところや、周辺に病院がほかにない場合は200床以上でも対象にすべきではない。
―医療保険によるサービス範囲の見直しが深掘りされていないという指摘もある
医療提供を受けるのは国民の権利だ。医療提供側に深掘りができていないという表現自体、国民が医療を受ける権利を抑制するのかという話につながる。私は国民皆保険が施行される前の状況をよく知っている。大変な状況だった。
(2020/02/19 11:00)
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