どうなる!医療保険改革
医師会、健保連のキーマンに聞く
〔佐野雅宏・健康保険組合連合会副会長〕
◇75歳以上の半数は2割負担を
―中間報告への評価は
インタビューに答える健康保険組合連合会の佐野雅宏副会長=東京都港区
一番関心を集めている高齢者の医療費窓口負担については、「2割負担」という数字が含めて盛り込まれた。もともとわれわれは低所得者に配慮しつつ、「原則2割負担への引き上げ」を主張してきたので、評価できる。紹介状なしでの大病院受診時の定額負担の拡大案も、外来受診機能の明確化や公的医療保険の負担軽減という観点から評価したい。
後期高齢者の自己負担は、どの範囲が引き上げ対象になっていくのか注目している。現役世代の負担軽減がわれわれの主張の核心だ。
―2割負担の対象はどうあるべきか
範囲がもし相当狭まるようなら、現役世代の負担軽減につながらず、われわれが望んでいる改革の方向とは違ってくる。75歳以上の半分以上ぐらいに適用すべきではないか。
◇「多剤投与」見直しを
―自己負担の引き上げは受診抑制につながるとの指摘もある
そういう懸念は確かにあり得る。ただ医療保険は高額医療費に対して、自己負担の上限が設定されている。特に費用がかかる入院などでは、2割負担でも相当の人に自己負担の上限が適用されるので、実質的な影響は少ないと考えられる。ただ単純に負担が倍になるというものではない。
財務省資料より
―外来受診時のワンコイン負担や市販品類似薬の保険適用除外案もあったが、中間報告には入らなかった
今まで日本は相当手厚い給付を実現できたが、財政状況を考えると今後はそういう状況にない。自助的な考え方で見直し、「市販品類似薬」の保険適用範囲を再検討する必要があるのではないか。
医療の無駄のような部分も本当にないのか。高齢者がいろんな病院に行って、たくさんの薬をもらう「多剤投与」の問題も見直す必要がある。
(2020/02/19 11:00)