どうなる!医療保険改革
医師会、健保連のキーマンに聞く
財務省資料より
◇資産を加味した応能負担
―健保財政の見通しは
われわれは「2022年危機」と言っているが、団塊の世代が後期高齢者に入っていけば、健保組合による後期高齢者医療制度への拠出金負担が相当増える。医療保険料のアップも不可避だ。現役世代の負担が増すばかりでなく、相当数の健保組合が解散してしまうのではないか。
財源の出どころは税金か保険料か自己負担かの三つしかない。今までは保険料の中でも現役世代の拠出金に相当比重が掛かってきた。過度に現役世代が負担をかぶればバランスが崩れてしまう。
―望ましい税負担のあり方は
消費税は相当国民の間にネガティブな感情が強い。2019年まで30年かかってやっと10%に来た。今後の道のりを考えると、非常に大変だが、税財源の確保は不可欠だ。所得だけでなく、資産も加味した応能負担を考える必要があるだろう。
◇「骨太の方針」に向けて
―病床削減も今後のテーマに
地域別の医療費動向を見ると、相対的に病床数が多い都道府県の方が医療費が高いデータがある。本当に適切な病床数になっているのか検証する必要がある。自分を診てくれるかかりつけ医がきちんとあれば多剤投与のようなことにならなくて済むはずだ。かかりつけ医制度を加速し、全体の給付見直しを進めるべきだ。
財務省資料より
―保険者の機能強化も求められる
メタボ予防の特定健診の受診率を上げ、やや問題があった人には保健指導をきちんとやっていく。早期に指導し、さらに重症化を予防することで、全体の医療費をいかに抑えていくかが重要だ。
―健保連の今後の取り組みは
時間的に相当切羽詰まっており、大きなピークは2022年だと思っている。今年前半が大きな勝負どころだ。
6月半ばの全世代型会議の最終報告とともに、経済財政運営の基本指針「骨太の方針」でも給付と負担の見直しの方向性を出すと政府は言っている。中間報告で入っていない項目も骨太の方針に向けて検討し、方向性を出すだろう。(聞き手・纐纈啓太)
(2020/02/19 11:00)