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カフェインを多量に含む市販の眠気・だるさ防止薬や清涼飲料水を過剰摂取して、急性中毒で救急搬送される若者が増えている。重症になると死に至る恐れもある。埼玉医科大学病院(埼玉県毛呂山町)救急センター・中毒センターの上條吉人センター長に聞いた。
▽エナジードリンクや錠剤が普及
カフェインは脳の神経細胞を刺激して、眠気を防いだり、疲労回復、集中力を高めたりする効果があることで知られる。そのため、コンビニや自動販売機で手軽に入手できる、カフェイン含有量の多い「エナジードリンク」が若い世代で人気を集めている。
紅茶に含まれるカフェインの量は100ミリリットル当たり30ミリグラム程度、コーヒーは同60ミリグラム程度だが、エナジードリンクは同300ミリグラムに上るものもあり、覚醒効果を実感しやすい。ただ、エナジードリンクは1本の値段が数百円するため、より安価にカフェインを摂取できる眠気・だるさ防止薬に目を向ける人が少なくない。
眠気・だるさ防止薬はドラッグストアやインターネット通販で購入できる。さまざまな種類があり、1錠にカフェイン167ミリグラムが含まれているものもある。1錠にカフェイン100ミリグラムが含まれている錠剤20錠入り1箱が、200円程度で購入できることもある。「小さい錠剤なら、一度に数十錠も簡単に服用できてしまいます。強い覚醒作用を求めて飲み過ぎ、中毒に至るケースが多いのです」と上條センター長は懸念を示す。
▽動悸、めまい、頻脈などが出現
カフェインは興奮作用があり、短時間で1グラム以上摂取すると、中枢神経系や心臓が過剰に刺激される。めまい、過呼吸、頻脈、興奮状態、激しい嘔吐(おうと)や動悸(どうき)などの症状が表れて、苦しむ人が多いという。軽症なら点滴などで回復するが、重症例では致死的な不整脈を起こして死亡する場合もある。
上條センター長らが行った日本中毒学会の調査結果では、2011年~15年に救急医療機関38施設にカフェイン中毒で救急搬送された患者は101人。そのうち7人が心停止を起こし、3人が死亡していた。9割以上が錠剤による中毒で、中にはエナジードリンクを一緒に飲んでいる人もいた。
政府はカフェインの過剰摂取への注意を呼び掛けているが、販売規制、摂取許容量設定などの動きはない。まずは一人一人がその危険性を認識する必要がある。上條センター長は「お茶やコーヒーなどで適度に取る分には問題ないが、特に若い人は安易に薬を服用せず、過剰摂取には危険が伴うことを知ってほしい」と強調する。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/04/05 09:00)
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