治療・予防 2024/11/21 05:00
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新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、スポーツやイベントなどの延期・中止、美術館や娯楽施設の休館など大きな影響を与えている。さらに、感染を恐れて外出を控える人も多い。「ロコモ チャレンジ!推進協議会」が実施したアンケート調査によると、昨年度に比べ約5割の人が「外出の機会が減った」と回答。また、運動の機会や日常の活動量が減ったとする人が約4割を占めた。協議会を設立した日本整形外科学会の関係者は、こうした状況によって健康を損なう恐れもあると懸念している。
外出の機会は変わったか
調査は、同協議会が3月11、12日、インターネットを通じ全国の20歳以上の男女5000人を対象に行った。新型コロナウイルス感染症による運動への意識変化を探るのが目的だ。普段の活動量の減少はロコモティブシンドローム(ロコモ、運動器症候群)につながり、健康寿命にも影響する。ロコモが進むと日常生活が制限され、悪化した場合には転倒や骨折、関節の病気などで要支援や要介護の状態になる可能性が高くなる。
◇「外食を控える」がトップ
調査では2月上旬以降の最近1カ月間で、外出する機会が昨年の同じ時期に比べて変わったかを尋ねた。「かなり減った」が25.7%、「やや減った」が26.9%で、「減った」が計52.6%と半数を超えた。「減った」は男性より女性の方が多く、男性60歳以上で48.2%だったのに対し、女性30代が61.2%、60歳以上では62.6%と3人に2人の割合に達している。
具体的な外出の減少
具体的には、どのような外出が減ったのだろうか。トップは「外食を控えている」で、「多くの人が集まるイベントや集会を避けている」「買い物に行く頻度が減った」と続いた。さらに、「電車やバスに乗らなければ行けない場所には出掛けない」「旅やレジャーの予定をキャンセルした」「習い事やスポーツジムに行くのを控えている」など、新型コロナウイルスの感染拡大が大きな影響を及ぼしていることが分かる。
◇60歳以上女性、2人に1人活動量減
運動する機会や歩数など日常の活動量に関する変化はどうか。「かなり減った」と「やや減った」を合わせると、40.3%だった。男性の37.2%に対し、女性は43.4%で女性が上回る。特に60歳以上の女性では52.8%と、半数を超えた。
運動の機会や日常の活動量が減ったと回答した人に、自宅で簡単にできる運動方法に興味や関心があるかを聞いた。「とても関心がある」29.9%、「やや関心がある」42.2%と、「関心がある」が計7割を超えた。「関心がある」は男性の68.6%に対し、女性は75.1%と男女間で差があった。女性で最も多いのが30代の80.8%で、40代の78.3%が続いた。
運動の機会や日常の活動量の変化
◇軽視できない活動量の低下
同協議会の委員長でNTT東日本関東病院整形外科部長の大江隆史氏は「健康を維持するための身体活動量は、生活活動量と運動(スポーツ)の量の総和だ。新型コロナウイルス感染症の影響で、テレワークによる通勤の減少や人が多く集まる場所への外出の自粛などが生活動量の不足を、学校の休校やスポーツイベントの中止、スポーツ施設の休業などが運動量の不足を招いている」とした上で、「この事態は子どもから高齢者まですべての年代に生じており、感染症自体に加えて身体活動量の不足によっても健康を損なう恐れが高まっている」と指摘する。
◇家庭でできる運動解消法
外出などを控える中、家庭でできる手軽な運動不足解消法が、日本整形外科学会などが勧めるロコモーショントレーニング(ロコトレ)だ。
片脚立ち。片脚を床につかない程度に上げる。左右1分間ずつ、1日3回が目安となる。転倒しないように注意し、支えが必要な人は机やテーブルに手や指をついて行う。
次が下肢の筋肉をつけるスクワット。肩幅より足を少し広げて立ち、爪先を30度くらい開く。膝が爪先より前に出ないように、また膝が足の人さし指の方向を向くように注意し、お尻を後ろに引くように体を沈める。深呼吸をするペースで1回5~6セット、1日3回が目安だ。スクワットができないような場合は、椅子に腰かけ、手を突いて立ったり、座ったりする動作を繰り返す。
二つのロコトレにプラスする運動として、ヒールレイズがある。両足で立った状態でかかとを上げてから、ゆっくり下す。これを繰り返す。1回10~20回、1日に2~3セットを行う。立つことや歩行が不安定な人は、椅子の背もたれなどに手を突いて行う。
どの運動も体力や年齢によって無理をしないように、気を付けたい。(鈴木豊)
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