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血圧は、心臓が血液を全身に送る際に動脈の内側に掛かる圧力のことで、上の数値は最高血圧(収縮期血圧)、下の数値は最低血圧(拡張期血圧)と呼ばれる。2019年に「高血圧治療のガイドライン」が改訂され、成人の正常血圧は120/80mmHg未満とされた。早期の治療で、脳や心臓の病気を防ぐのが目的だ。日本大学医学部付属板橋病院(東京都板橋区)腎臓・高血圧・内分泌内科の阿部雅紀教授は「収縮期血圧に目が行きがちですが、実は拡張期血圧が高い人こそ要注意です」と話す。
血圧測定を習慣化すると、変化に気付きやすい
▽将来の高血圧リスク
血圧値は120/80mmHg未満が正常血圧で、140/90mmHg以上になると高血圧と分類される。この基準では高血圧ではないが、拡張期血圧が80mmHg以上の人が、最近若い世代を中心に増えているという。「将来高血圧になるかどうかは、拡張期血圧の値である程度予測できます」と阿部教授。
高血圧は、血管の弾力が失われた状態である動脈硬化と深く関わっている。動脈硬化は足や腕の細い血管から始まるが、このとき太い血管はまだ弾力性を保っていて余力があるため、拡張期血圧だけが上がってくる。これが拡張期血圧高値だ。「動脈硬化の進行とともに次第に収縮期血圧も上昇し、高血圧に至ります。つまり、拡張期血圧が高めの人は、将来高い確率で高血圧になるわけです」と阿部教授は指摘する。
▽朝夕の測定を習慣化
日本では収縮期血圧を重視して治療を行うため、135/90mmHgのように拡張期血圧が高血圧の範囲内であっても、収縮期血圧が高血圧の範囲に入っていない場合は積極的な治療対象にならない。また、拡張期血圧だけを下げる降圧薬もない。しかし、阿部教授は「拡張期血圧高値の段階で早めに手を打つことが、将来の高血圧予防につながります」と強調する。そして、高血圧のリスクとなる多量の飲酒や喫煙、運動不足などの生活習慣を改め、減塩を含め食生活を見直し、肥満を予防することを勧める。
また、普段から血圧を測る習慣を付けておくと、血圧の変化に気付きやすい。「血圧は1日2回、朝と夜に測定します。朝の血圧測定は、起床後1時間以内、排尿の後、朝食や服薬の前に行います。夜は寝る直前で構いませんが、入浴直後は血管が拡張しているので避けた方がいいでしょう」。ポイントは、毎日同じタイミングで測定すること。血圧計は、腕に巻く上腕式血圧計が正確だ。素肌の上から測定するのがベストだが、薄いシャツ1枚くらいなら影響はないという。
動脈硬化が起きた血管は元に戻すことはできない。阿部教授は「脳梗塞や脳出血、心筋梗塞や慢性腎臓病などの予防にも、拡張期血圧高値を見逃さないようにしてください」と呼び掛けている。 (メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2020/06/30 17:33)
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