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声帯は、喉の奥にある閉じたり開いたりするひだのことで、声を出すときは肺から出す空気(息)で声帯が振動する。声帯を使い過ぎたり、無理な力がかかったりすると、声帯がこすれ合う部分が硬く厚くなる。これを「声帯結節」という。慶応大学病院耳鼻咽喉科の矢部はる奈医師は「小学校低学年の教師や保育士、スポーツインストラクターなど日常的に声を出す職業の方は、声がれや喉の違和感が長引いたら疑ってください」と話す。
声帯がこすれ合う部分の組織が硬く厚くなって“たこ”ができる
▽若い女性と小児に多い
声帯結節は、指にできる“ペンだこ”と同じように考えるとイメージしやすい。声帯の片側に血豆のようなものができる声帯ポリープとは違い、声帯がぶつかる場所に左右対称にできるのが特徴だ。
声帯の両側が硬く腫れると、声帯がうまく振動しなくなり、声がしゃがれたり、空気が漏れるようなかすれ声になったりする。長く話すと、喉がヒリヒリと痛むこともある。成人では声をよく使う職業の若い女性、子どもでは活発な小学校低学年の男児に多い傾向が見られる。
ただし、子どもの場合は、小学校高学年になり、大声を出す機会が減ると自然に消失することが多いという。
診断には、鼻や口から細い管を入れて声帯を直接観察する内視鏡検査が行われる。専門病院では、特別な装置と内視鏡を組み合わせた喉頭ストロボスコピーと呼ばれる検査を行い、声帯の振動具合や結節の程度も評価する。「結節が硬くなると治るのに時間がかかります。早めの受診が大切です」と矢部医師。
▽炎症あれば薬物治療も
治療は、まず声を出すことを控え、声帯を休める「声の安静」が基本となる。加えて、言語聴覚士が喉に負担をかけない発声法の指導を行う。声の安静には、長時間話さない、喉の乾燥を避けて加湿器やマスクを使う、水分摂取を心掛けるなどが挙げられる。また、仕事で声を使う場合はマイクを使うなど、職場の環境調整も重要だ。「例えば、保育士の方で担当を乳児に変えてもらっただけで、症状が著しく改善したケースもあります」と矢部医師。
炎症があれば、抗炎症薬の内服や短期間のステロイド吸入などの薬物療法も行う。声の安静や薬でも良くならない場合には、外科手術(喉頭顕微鏡下手術)の選択肢もあるが、再び声帯を酷使すると再発するリスクがあり、慎重な判断が必要となる。
矢部医師は「声帯結節を治すには、喉にかかる負担を減らすことが先決です。まずは専門家の指導の下で正しい発声法を身に付けましょう。長引く声がれに悩む方は、耳鼻咽喉科の医師に相談してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/07/13 20:16)
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