声帯結節〔せいたいけっせつ〕
原因は、声帯ポリープといっしょです。ただし、声帯ポリープが大声など声の不摂生で急激になるのに対し、結節はそれに加え、本人にあわない発声法、歌唱法や無理な声の出しすぎ、声の使いかたにより時間をかけてできます。声帯ポリープが血豆なら、声帯結節はたこです。
幼稚園や小学校の低学年の先生、合唱の経験者に多く、左右の声帯がぶつかる場所に左右対称にできる、声帯の「おしゃべりだこ」です。「がらがら声」といううったえだけでなく、「高い声が出にくい」「歌がうまく歌えなくなった」「ハスキーになった」などのうったえも多い疾患です。
この場合も「声の衛生」を守ることで消失することが多くあります。ただ、喉頭(こうとう)の検査(喉頭ストロボスコピー)で声帯の振動をみて、あきらかに硬いたこの状態のまま経過をみて消失しないとき、成人では手術をおこないます。必要に応じて、音声外科医(音声専門の耳鼻咽喉科医師)と声の専門の言語聴覚士の連携による、声の出るしくみ(のどの構造とはたらきの項の「□発声器官としてののど」参照)や、その患者さんの生活に即した声の衛生教育を手術前後におこなえれば手術もうまくいきやすく、再発も防ぎやすくなります。
また、この疾患については幼稚園から小学生の活発な子どもにも多くみられます。子ども嗄声(させい)のうち頻度がもっとも高い病気です。
一般に喉頭は、成長に伴い大きさだけでなく前後に長くなるため、成長とともに結節が消失する場合がほとんどです。子どもに、いたずらに病気だと認識させるより、声の出るしくみや「声の衛生」を認識させたほうが得策です。
(執筆・監修:独立行政法人 国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 人工臓器・機器開発研究部長 角田 晃一)
幼稚園や小学校の低学年の先生、合唱の経験者に多く、左右の声帯がぶつかる場所に左右対称にできる、声帯の「おしゃべりだこ」です。「がらがら声」といううったえだけでなく、「高い声が出にくい」「歌がうまく歌えなくなった」「ハスキーになった」などのうったえも多い疾患です。
この場合も「声の衛生」を守ることで消失することが多くあります。ただ、喉頭(こうとう)の検査(喉頭ストロボスコピー)で声帯の振動をみて、あきらかに硬いたこの状態のまま経過をみて消失しないとき、成人では手術をおこないます。必要に応じて、音声外科医(音声専門の耳鼻咽喉科医師)と声の専門の言語聴覚士の連携による、声の出るしくみ(のどの構造とはたらきの項の「□発声器官としてののど」参照)や、その患者さんの生活に即した声の衛生教育を手術前後におこなえれば手術もうまくいきやすく、再発も防ぎやすくなります。
また、この疾患については幼稚園から小学生の活発な子どもにも多くみられます。子ども嗄声(させい)のうち頻度がもっとも高い病気です。
一般に喉頭は、成長に伴い大きさだけでなく前後に長くなるため、成長とともに結節が消失する場合がほとんどです。子どもに、いたずらに病気だと認識させるより、声の出るしくみや「声の衛生」を認識させたほうが得策です。
のどの病気を予防するためにいちばん大切なことは、大声を張り上げる習慣をつけないような日ごろの「声の衛生」管理です。健康な生活を送るために肝心なことは「健康なからだ」と「声の衛生」です。からだの健康管理は家庭や学校でふだん十分注意していることと思います。そこで、もう一つの声の衛生を保つための注意事項を以下のようにまとめました。日常生活で活用してください ①叫んだり、金切り声をあげたり、大声で笑うことを避ける ―応援するときはみんなで声をそろえれば小さい声でもすむ ②裏声で話したり、無理な高さで発声したりすることをやめ、ささやき声も避ける ―自分にとってもっとも楽な大きさと高さの声で話す ③けむたいところやほこりっぽいところ、たばこを吸っている人のそばに行くのは避ける ―たばこの煙やほこりは声の敵 ④せきばらい、からせきは必要最小限度にとどめる ―食事のときは少しずつ、むせないようにゆっくり食べる ⑤うるさい機械のそばや大きな音で音楽を聴いているときや、ドライヤーを使っているとき、バス、電車、地下鉄、飛行機、自動車の中など、うるさい乗り物の中での会話を避ける ―うるさい所ではおとなしくする。必要なことは相手の耳もとで話す ⑥話したくても思うように声の出にくいときは、無理に話さない ―楽に出せる声を使う。筆談も一つの方法 ⑦話をするとき、くび、肩、胸、のどなどに力を入れない ―発声がいちばん楽なリラックスした姿勢で話す。呼吸法も大切 ⑧冷たい空気や乾燥した空気の場所は避ける ―部屋の中はある程度の湿り気が必要、加湿を心掛けましょう ⑨屋外や広い部屋で遠くの人に対して話すのは避ける ―相手の近くへ行って話す ⑩かぜをひかないように注意し、かぜのときはできるだけ声を休ませる ―疲れたときやかぜのときはまずからだも声も休ませる 以上の注意を守るのも大切ですが、その前に人が話しているときは、話している人の気持ちになって、静かに最後まで聞く姿勢を身につけましょう |
(執筆・監修:独立行政法人 国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 人工臓器・機器開発研究部長 角田 晃一)