声帯ポリープ〔せいたいぽりーぷ〕
声の濫用(らんよう)つまり声の不摂生により、声帯の粘膜に炎症が起こり腫脹(しゅちょう)してできる、いわば血豆です。わるい病気ではありませんが、そのまま放置するとどんどん大きくなり声が出にくくなり、反対の声帯もはれてきます。声帯は1秒間に150~300回ぶつかり合って振動しますから、もともと痛みを感じにくくできています。したがって、痛みがなく、いきなり声がかれます。
[治療]
まず炎症とその原因を抑えることと、「声の衛生」管理が大切です。これにより数週間から数カ月で消えることもあります。声の衛生に加え、声の出るしくみ(のどの構造とはたらきの項の「□発声器官としてののど」参照)なども理解すると、手術を回避する確率が高まります。それでも消えない場合や、がんを含む腫瘍の可能性のある場合は手術になります。声帯嚢胞(のうほう)といって声帯の粘膜の下で風船状にふくれて、一見ポリープのように見える異なる病態の場合があり、この場合は手術が第一選択です。「声の衛生」を守ることはたいへん重要で手術がいかにうまくいっても、その後またもとの生活習慣を続ければくり返して発症します。
(執筆・監修:独立行政法人 国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 人工臓器・機器開発研究部長 角田 晃一)
[治療]
まず炎症とその原因を抑えることと、「声の衛生」管理が大切です。これにより数週間から数カ月で消えることもあります。声の衛生に加え、声の出るしくみ(のどの構造とはたらきの項の「□発声器官としてののど」参照)なども理解すると、手術を回避する確率が高まります。それでも消えない場合や、がんを含む腫瘍の可能性のある場合は手術になります。声帯嚢胞(のうほう)といって声帯の粘膜の下で風船状にふくれて、一見ポリープのように見える異なる病態の場合があり、この場合は手術が第一選択です。「声の衛生」を守ることはたいへん重要で手術がいかにうまくいっても、その後またもとの生活習慣を続ければくり返して発症します。
のどの病気を予防するためにいちばん大切なことは、大声を張り上げる習慣をつけないような日ごろの「声の衛生」管理です。健康な生活を送るために肝心なことは「健康なからだ」と「声の衛生」です。からだの健康管理は家庭や学校でふだん十分注意していることと思います。そこで、もう一つの声の衛生を保つための注意事項を以下のようにまとめました。日常生活で活用してください ①叫んだり、金切り声をあげたり、大声で笑うことを避ける ―応援するときはみんなで声をそろえれば小さい声でもすむ ②裏声で話したり、無理な高さで発声したりすることをやめ、ささやき声も避ける ―自分にとってもっとも楽な大きさと高さの声で話す ③けむたいところやほこりっぽいところ、たばこを吸っている人のそばに行くのは避ける ―たばこの煙やほこりは声の敵 ④せきばらい、からせきは必要最小限度にとどめる ―食事のときは少しずつ、むせないようにゆっくり食べる ⑤うるさい機械のそばや大きな音で音楽を聴いているときや、ドライヤーを使っているとき、バス、電車、地下鉄、飛行機、自動車の中など、うるさい乗り物の中での会話を避ける ―うるさい所ではおとなしくする。必要なことは相手の耳もとで話す ⑥話したくても思うように声の出にくいときは、無理に話さない ―楽に出せる声を使う。筆談も一つの方法 ⑦話をするとき、くび、肩、胸、のどなどに力を入れない ―発声がいちばん楽なリラックスした姿勢で話す。呼吸法も大切 ⑧冷たい空気や乾燥した空気の場所は避ける ―部屋の中はある程度の湿り気が必要、加湿を心掛けましょう ⑨屋外や広い部屋で遠くの人に対して話すのは避ける ―相手の近くへ行って話す ⑩かぜをひかないように注意し、かぜのときはできるだけ声を休ませる ―疲れたときやかぜのときはまずからだも声も休ませる 以上の注意を守るのも大切ですが、その前に人が話しているときは、話している人の気持ちになって、静かに最後まで聞く姿勢を身につけましょう |
(執筆・監修:独立行政法人 国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 人工臓器・機器開発研究部長 角田 晃一)