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鼻の粘膜が炎症を起こし、腫れて垂れ下がってキノコ状のポリープになったものを「鼻茸(はなたけ)」と言う。鼻の中(鼻腔=びくう)やその周囲にある空間(副鼻腔)にでき、慢性副鼻腔炎(蓄膿=ちくのう=症)の中でも「好酸球性副鼻腔炎」を発症した人で特に生じやすい。
▽ぜんそくやアスピリン不耐症で発症
好酸球性副鼻腔炎はぜんそくを合併することの多い難治の副鼻腔炎で、日本国内の推計患者数は約2万人。ぜんそくの治療薬である吸入ステロイド薬が広く使用され、経口ステロイド薬の使用が減ってきた2000年ごろから増え始めたとされる。
吸入薬は気管支、肺に作用するが、鼻には作用しないので鼻症状が表れるようになったと考えられている。
東京医科大学(東京都新宿区)耳鼻咽喉科・頭頸部外科学の大塚康司教授は「ぜんそく患者やアスピリンなどの解熱薬を服用して、ぜんそくやアレルギー症状が出現するアスピリン不耐症の人で起こりやすいと言われます。30~50代で多く発症します」と説明する。
鼻茸は「数が増えたり、大きくなったりしますが、がんになることはありません。鼻の奥の空気の通り道にできるため、鼻詰まり、匂いを感じにくくなる嗅覚障害、粘っこい鼻水が喉に流れ落ちる後鼻漏(こうびろう)などが表れます。重症になると、耳と鼻をつなぐ耳管の入り口をふさいで、耳閉感を生じる場合もあります」と大塚教授。
▽重症では術後2年で半数が再発
好酸球性副鼻腔炎の治療には、まず経口のステロイド薬が使われる。鼻茸の縮小、嗅覚の改善が得られるが、長期間継続使用すると副作用が表れるため、通常服用できるのは2週間程度だ。中等症以上の場合、鼻の穴から内視鏡を挿入して、鼻茸を切除するだけでなく、鼻茸の根元も除去する副鼻腔手術を行う。手術時間は片側で1時間程度だが、再発しやすい点が問題である。
そこで、手術後は再発を防ぐために、根気よく治療を続けることが大切となる。「ステロイドの経口薬や点鼻薬などを使用しながら、鼻洗浄器を使って鼻の中を生理食塩水で洗い、たまったうみや鼻水を洗い流す鼻洗浄を続ける必要があります」と大塚教授。重症の場合は「手術後2年で約半数が再発します。5~6年ごとに手術を繰り返す例もあります」と話す。
明るい兆しも見えている。「最近、デュピルマブと呼ばれる新しい薬が鼻茸を小さくすることが分かり、欧米で使用されています。近い将来、日本でも鼻茸に対する承認が見込まれています」と期待を示す。(メディカルトリビューン=時事)
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