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パソコンやスマートフォンを操作する時の「うつむき姿勢」を長時間続けると、首に負担がかかり、首を支える筋肉が過度に緊張して固くなる。こうした「首こり」の状態が慢性化(首こり病)すると、自律神経の異常を招き、さまざまな不調を引き起こす。これを「頸性(けいせい)神経筋症候群」と呼ぶ。この病気を提唱した東京脳神経センター(東京都港区)の松井孝嘉理事長に聞いた。
首の後ろの筋肉を緩める体操
▽首に負担がかかる現代人
首を前に突き出してパソコンの画面を見たり、うつむいてスマホの画面をのぞき込んだりする姿勢を長時間続けると、平均5~6キログラムある頭部を支えている首の後ろの筋肉が過度に緊張し、疲労が蓄積する。
首には自律神経が集中しており、首こりによってその働きに異常が起こることで多彩な症状を引き起こす。自律神経には、心身を緊張・興奮させる交感神経と、心身をリラックスさせる副交感神経があり、両者はバランスを保ちながら、血圧、脈拍、呼吸、消化などの機能を調節している。「首こりを悪化させると、副交感神経の働きを低下させます。それにより、動悸(どうき)や息切れ、めまい、冷え、のぼせ、胃腸障害、慢性疲労、不眠、うつ状態、ドライアイなど、いろいろな症状が表れます」と松井理事長。首こりによって全身に不調が起こる状態を「頸性神経筋症候群」と名付け、現代人の生活習慣病だと警鐘を鳴らしている。
▽小まめに首の筋肉を緩める
診断は、首の疲労度をチェックする30項目の問診票と、首の後ろの触診によって行う。レントゲンや磁気共鳴画像装置(MRI)で頸椎(けいつい)や脊髄、神経の状態を調べる場合もある。
治療法は、低周波の電気刺激を行い、首の筋肉のこりを緩和する。首こりが解消されれば、頭痛や全身の不調も改善できるという。
重要なのは、普段から首に疲労を蓄積させないことだ。パソコンで作業をする際は、ノート型ではなく、下を向かずに作業できるデスクトップ型が望ましい。また、「小まめに休憩して、首の筋肉を休ませれば、うつむいた姿勢で作業をしても問題ありません」と松井理事長。デスクワークをしているときは、できれば15分に1回、長くても30分に1回は必ず首の筋肉を緩める体操を行う。それで、首こりは予防できる。
また、首の冷えも首こりの原因になるので注意したい。「これから薄着の季節になりますが、首は出し過ぎないように注意し、スカーフなどで守ってあげるとよいでしょう」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2020/09/12 09:56)
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