治療・予防

歯がすり減る歯ぎしり、食いしばり
生活の乱れ改善し、睡眠の質向上を(昭和大学歯科病院 馬場一美院長)

 睡眠中の歯ぎしりや食いしばりは、歯が欠けたり折れたりする原因になることがある。放置すると虫歯や歯周病の悪化にもつながる。無意識に行われるため止めるのは難しいが、昭和大学歯学部歯科補綴(ほてつ)学教授で昭和大学歯科病院(東京都大田区)の馬場一美院長は「睡眠の質を改善すれば、頻度を減らすことはできます」と指摘する。

歯ぎしり、食いしばりに伴う主な症状

 ▽歯が折れることも

 ギリギリと音を立てて上下の歯を強くこすり合わせる歯ぎしりや、上下の歯を強くかみしめる食いしばりは、寝ている間に起こりやすい。朝目覚めた時に顎の疲れや痛みを感じる人、肩の凝りなどがある人は歯ぎしりや食いしばりを疑った方がよい。

 「歯ぎしりや食いしばりの癖があると、歯や歯を支えている組織、顎の骨や関節などに過度な力が繰り返しかかるため、さまざまな問題が生じます」と馬場院長。

 歯ぎしりは家族から指摘されることもあるが、食いしばりは音が出ないので気付かれにくい。頬の内側や舌の側面に歯の押し付け痕があれば、食いしばりの癖がある可能性が高い。

 歯の外側は硬いエナメル質だが、過度な力が加わることで摩耗したり欠けたりすると内側の柔らかい象牙質が露出する。すると、刺激が神経に伝わって知覚過敏を起こしたり、細菌が歯の内部に侵入して虫歯になったりする。

 また、歯の強度が落ちるため、ひびが入って欠けたり折れたりしやすくなる。治療した詰め物やセラミックのかぶせ物、インプラントなどにも耐久性を超えた力がかかり、外れたり、破損したりしやすくなる。さらに、歯の根や歯茎への負担が増えるため、歯周病が悪化し、歯を失う危険性が高まる。顎の関節に痛みが出て顎(がく)関節症を起こすことも多いという。

 ▽原因は不明

 歯ぎしりや食いしばりの原因は不明であり、治療法はない。ただし、眠りが浅い時に起こりやすいという。過度な飲酒や喫煙などの習慣、いびき、ストレスなどは睡眠の質を低下させる原因となるため、生活習慣などを見直して睡眠の質を上げることが重要だ。

 また、就寝前に樹脂製のマウスピースを装着して、歯や顎にかかる強い力を軽減する方法もある。「長年歯に強い力がかかった状態が続くと歯へのダメージが強くなり、その結果として歯を失うことはまれではありません。歯ぎしりや食いしばりを疑ったら、早めに歯科を受診してください」
(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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