いびき 家庭の医学

 一般にいびきは、呼吸における空気の通り道のどこかが狭くなると起こります。健康な人でも、非常に疲れたり、飲酒のあとやかぜなどで鼻がつまって口呼吸をしたときに、いびきをかくことがあります。これらのいびきは病的とはいえませんが、原因は鼻の通りがわるくなる病気や咽頭(いんとう)、口腔(こうくう)などが狭くなる病気で起こる場合と、中枢や全身の疾患で起こる場合があります。
 また一般に肥満では、からだの外側だけでなく内腔(ないくう)も肥満をきたし、呼吸の通り道がせばまり、いびきをかくことがあります。 
 規則的な大きないびきが途中で突然とまって呼吸をしなくなり、またいびきが始まる場合があります。このときは睡眠時無呼吸症候群によるいびきが考えられます。この場合、熟睡できず眠りが浅くなり、寝相もわるく(呼吸の楽な姿勢を求めて寝返りをくり返す)、日中に傾眠傾向(居眠りしやすい)となり、心臓に負担もかかります。このようないびきのときは家族や同居者(本人はいびきを聞くことができないため)といっしょに耳鼻咽喉科やいびきの専門医を受診して、いびきの原因を調べてください。

[検査]
 耳鼻咽喉科では、咽頭、鼻腔(びくう)、頸(けい)部の診察や内視鏡検査などでいびきの原因を調べます。あきらかな原因がわからない場合やもっとくわしい検査が必要な場合は、さらに専門施設で特殊な機器を使って睡眠中の実際の変化を1~2泊の入院で客観的に評価し、いびきと睡眠と呼吸の関係などや病的いびきが、心臓や肺、全身へ及ぼす影響を調べます。

[治療]
 これらの検査で原因をつきとめ、それに沿った治療をおこないます。手術療法としては、鼻が原因の場合は鼻の手術、扁桃(へんとう)やアデノイドが原因の場合はその摘出手術や、軟口蓋(なんこうがい)の形成手術で咽頭腔(いんとうくう)をひろげる口蓋垂・軟口蓋・咽頭の形成手術が一般的におこなわれています。
 そのほか、睡眠時無呼吸症候群には、内科的にCPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)という、寝るときに鼻から器械で圧を加える方法が推奨され普及しています。症例によっては、歯科的な装具や鼻をひろげるテープなどが有効な場合があります。

【参照】歯と口とあごの病気:閉塞型睡眠時無呼吸症、呼吸器の病気:睡眠時無呼吸症候群(SAS)

(執筆・監修:独立行政法人 国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 人工臓器・機器開発研究部長 角田 晃一
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