足の悩み、一挙解決

第3回 巻き爪の正しい解決法
~もう我慢する必要はありません~ 足のクリニック表参道院長 桑原靖

 足の爪が内側に曲がる巻き爪は、両端が足の指に食い込むと、強い痛みを引き起こします。我慢していると、姿勢や歩き方にも影響して、膝や腰の痛みにもつながります。

 ◇爪は巻きやすい構造

 そもそも、なぜ爪が巻いてしまうのでしょうか。爪を切り過ぎたからとか、先の細い靴のせいだと言われることが多いのですが、もともと爪は巻きやすい構造をしているのです。親指がしっかり地面を踏みしめて体重がかかることが前提で、丸まらずに指に沿うような緩やかなカーブを保っています。

 爪に均一な力が下からかからないと、中途半端に浮いてしまい、どんどん爪が巻いていってしまいます。その証拠に、寝たきりの高齢者のほとんどが巻き爪です。ただし寝たきりの人は歩かないため、痛みを感じることもありません。

 普通に歩いているのに爪が巻いてしまうのは、指がきちんと地面を踏みしめていないからです。寝たきりではなくても、指先が浮いた状態で歩く癖(浮き指)のある人の爪は巻いていきます。外反母趾(ぼし)など何らかのトラブルがある人は、親指が外側に傾いた状態で地面を踏んでいます。よく見ると、指の肉がゆがんだ状態になっていることが多いのです。

 ◇親指が地面を踏めていない

 爪の厚さにも個人差があり、もともと爪が薄い人は、より巻き爪になりやすい傾向があります。足に合わない靴を履いたことで、足のアーチが崩れ、巻き爪になってしまう場合もあります。

 中学、高校への進学直後や就職活動の頃、当クリニックには巻き爪の患者さんが急激に増えますが、学校から指定の靴を決められて、無理に履いていたことの影響が考えられます。つま先が細い靴に爪が当たって巻くのではなく、足のアーチが崩れて親指が真っすぐに地面を踏めなくなることが原因です。

 巻き爪の治療法として、巻いた爪をワイヤーで矯正する方法が広く行われています。当クリニックでも行っていますが、この方法を単独で行っただけでは、根本的な治療にはなりません。ワイヤーを外せば、再び巻いてきてしまい、何度も同じ治療を繰り返すことが多いのです。現に米国では巻き爪に対して、爪の矯正という選択肢はほとんどありません。

 当クリニックでワイヤー治療(VHO療法)を行う場合は、必ず巻き爪の原因を取り除くような治療も行います。足のアーチが崩れている人には、インソールの使用をお勧めします。また、巻き爪の原因として、爪の幅が広くて指の幅いっぱいに広がっているような場合は、積極的に手術で爪の幅を狭くします。ワイヤー矯正をするか、手術をするかは、爪の巻き方や厚さ、ライフスタイルによっても異なり、最終的には患者さんに選択してもらいます。

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